内容説明
欧米人の鯨観の謎に迫り、その恣意性を暴く。誰が何の目的で鯨を神聖視し特別扱いし、メディアがどのように表象してきたか―その過程を徹底的に解き明かす。
目次
第1章 鯨の自然史、捕鯨の歴史
第2章 動物保護運動と鯨
第3章 捕鯨問題の政治性
第4章 抗議ビジネスとしての環境保護
第5章 メディアと鯨
第6章 捕鯨文化と世界観
著者等紹介
河島基弘[カワシマモトヒロ]
1965年静岡県に生まれる。1988年早稲田大学政治経済学部卒業。時事通信社入社。(記者職)。1998年時事通信社退職。エセックス大学社会学部修士課程修了。1999年ロンドン大学経済政治学院(LSE)社会人類学部修士課程修了。2004年エセックス大学社会学部博士課程修了。(PhD in Sociology)。現在、群馬大学専任講師。(専攻/文化社会学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サメ社会学者Ricky
1
再読。反捕鯨に対する反論としてシンガーの理論を持ってきたのは興味深いが、反論の元になるシンガー自身はクジラはおろか他の痛みを感じる可能性が高い動物全ての利用に反対しているので、最終的にはそこの解決も必要ではないだろうか。2020/06/05
サメ社会学者Ricky
1
文化的特異性、神秘性、ユニークさなど反捕鯨勢力が主張する多くの魅力がカンガルーなど平気で殺されている生き物にも当てはまるものである。日本の漁業における資源管理がどこまで信用に足るものかという懸念はあるものの、理性的に捕鯨の全面禁止を訴えるのにはたしかに無理がある。しかし、無理があるから捕鯨を嫌悪するなとは言えない。恣意的であることを自覚した上で、然るべき環境配慮を促進することはむしろ必要だと僕はほか思う。2018/02/04
サメ社会学者Ricky
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著者は反捕鯨論者の主張が矛盾して一方的である際にシンガーの種差別をもとにしている部分があるが、シンガーが仮に捕鯨について語るなら、間違いなくシンガーは捕鯨に反対するであろうから、議論として危うい気がする。それでも、本書で取り上げられるように、反捕鯨論者の主張の一部が押し付けであることは否定できないだろう。2017/10/16
サメ社会学者Ricky
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西洋の反捕鯨論の矛盾、浅はかさ、誤りを追求する本。前に一回読んだけど「こんなに反捕鯨に批判的だったっけ?」と読み直して反省。議論は面白いけど、科学データの詳細な数字に対する言及が少なくて(出典は明らかにしている)、追っていく必要あり。議論の展開の仕方や読みやすさは高評価。2017/07/23
ひろただでござる
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どれだけ事実を並べてみても認めたくないと感情的になっている人を説得する事はできない。その類いの人たちには現実という物が存在しないんだろう。2013/07/31