出版社内容情報
本郷和人[ホンゴウカズト]
著・文・その他
内容説明
「お気持ち」の核心はどこにあるのか、そして、日本人にとって天皇とは何か、テレビで人気の歴史学者が徹底分析。皇室と日本の未来を考える上で必読の書!
目次
第1章 なぜ、天皇は「生前退位」を決意したのか(あまりにも多忙すぎる現代の天皇陛下;「国民の総意」に訴えるお気持ち表明 ほか)
第2章 天皇にとって「退位」とは何か(じつは終身天皇のほうがめずらしかった;初めて「生前退位」した男性天皇が抱えた事情 ほか)
第3章 天皇にとって「お務め」とは何か(みずから鷹狩りを行った古代の大王;古代の大王の「権威の源泉」とは ほか)
第4章 日本人にとって「天皇」とは何か(天皇が持つ「権力」と「権威」;天皇が庶民から忘れ去られた時代 ほか)
第5章 天皇と日本人にとって「万世一系」とは何か(「万世一系」と「日本人」であることの意味;「最大のピンチ」をどう乗り越えたか ほか)
巻末付録
著者等紹介
本郷和人[ホンゴウカズト]
1960年東京生まれ。東京大学史料編纂所教授。文学博士。東京大学、同大学院で石井進氏、五味文彦氏に日本中世史を学ぶ。中世政治史、古文書学専攻。『大日本史料』の編纂に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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謙信公
12
なぜ、天皇(現上皇陛下)は「生前退位」を決意したのか?天皇にとって「退位」とは?お言葉からのお心の推察、歴代天皇の生前退位の事例、天皇の地位、権威の変遷や政治との関係、万世一系が保たれた経緯などから考察する。天皇にとって大きな問題は、退位そのものではなく誰を後継者にするかである。天皇の判断基準は先例主義にあり、天皇は伝統を尊重し男性にすべきだ。日本人であることを誇りに思う時、他の国にはない「天皇」を引き合いに出したい部分がある。男尊女卑は論外だが、国民全体でよくよく考えていきましょう、と問題を投げかける。2021/08/16
桑畑みの吉
5
2021年4月、内親王の結婚ゴタゴタ問題が連日報道され、皇室の存在意義もが問われる状況になってきている。本書は天皇の生前退位が話題になっていた2017年1月に書かれたものである。生前退位に関する話題がメインであるが、広く天皇制の歴史やあり方について神聖視するでもなく、ディスるでもなく、なるべくニュートラルに分かり易く説明している。一読する価値はあると思うが、大きな活字で、図表や巻末資料(殆どが公的機関からの引用)を除いた本文は約140ページとなっている。単行本なのでコスパはあまり良くないかな。 2021/01/31
ATSU
1
まずビックリしたのが資料の多さ。174ページから221までが巻末付録。歴史学者があまり言いたくない(?)天皇の退位について歴史を振り返りながら解説。中学生・高校生にもわかるようにと仮名をふるなどして,「国民全体でよくよく考えていきましょう。」と締めくくっています。2018/03/17
Ise Tsuyoshi
1
天皇の退位問題について考えるための歴史学者からの材料提供。実在が確認されている天皇のほとんどは生前に退位しており、現在のような「終身天皇」のほうが珍しい存在▽近世以前の庶民は天皇という存在をほとんど知らなかったということなど、今の天皇のイメージが幕末〜明治に作りあげられたものであることがよく分かる。退位した天皇の退位に至る経過や背景の一覧表など、掲載されている資料も興味深い。ただ、本文はやや内容が重複しているところが多く、基礎知識が既にある人には、少し物足りないかも。2017/01/23