出版社内容情報
「宇宙生物学」という新しい科学の領域の最新成果を示す一般向けの読み物。
内容説明
われわれは、これまで知らなかった生命を知りはじめている。ダーウィン以来の進化モデルを生命の定義から刷新し、宇宙に新たな生命の可能性を見出す。
目次
生命とは何か
地球の生命とは何か
われわれが知らない生命
生命のレシピ
生命の人工的合成
地球には、すでにエイリアンがいる?
パンスペルミア―太陽系にエイリアン遍在の可能性はあるのか?
水星と金星
月の化石
火星
エウロパ
タイタン
意味合い、倫理、危険
宣言―古生物学者を火星に、生化学者をタイタンに送ろう
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜長月🌙@5/19文学フリマQ38
67
いかにして生命が形成されたかを考える時に他の惑星の生命体に「まだ」遭遇していない人類は地球上の生物から考えるしかありません。「まだ」というのは宇宙の知的生命体の存在に出会うにはあまりにも莫大な距離に隔てられていると考えるのがよさそうだからです。そしてこの問題を考える時には生命とは何かという定義が大切となります。最も単純な定義は「代謝し、複製し、進化するもの」だそうです。生命体であることの条件の一つが進化することとは知りませんでした。2021/04/09
Tatsuya
4
先日のNASAによる、砒素を取り込むDNAを持つ可能性のある生物の発見を受けて、宇宙生物学にちょっと興味が沸いたので読んでみた。誤植が多いのが気になったけど、あまりにフィクション的でない、現実味を帯びた地球外生命というものはどんなものか、ということを知る入門として良かったと思う。自分に化学方面の知識がもうちょっとまともにあれば、もっとちゃんと理解できたかな……。2011/02/10
velikiy99
3
生命の可能性が取りざたされる天体も実際は放射線や化学的な条件などから厳しい環境であること、また「生息可能」と「発生可能」との違いなど、意識していなかった。原初の生命発生について、単純な有機物から、現行の地球生命に不可欠なRNAを合成する過程が未解明な点も盲点。細かい生化学的な議論については、専門知識が足りずフォローしきれなかったが、代謝をする組織と、複写し遺伝する組織のどちらが先にできたか・どう発展したかという議論は興味深かった。地球生命の起源が実は火星だったというのが真面目に提唱されていることにも驚き。2018/06/08
ふかっしー
2
パンスペルミア説についてこんなに触れてくれているとは思わなかった。主に長沼さんの影響なんだけど、今私の中でパンスペルミア説が熱い。タイトルから漂う硬派そうな雰囲気に反して、意外なことにSF的な生物への期待についても真面目に考えてくれていて、私の俗的な要求まで満たされて満足。
Hal
2
学際分野の見本のような宇宙生物学のかなり広い分野における最先端の知見・仮説を網羅している一冊。2.5億年前の岩石から蘇生された細菌の話(http://www.americanscientist.org/issues/pub/rock-of-ages)が特に気になった。また、エイリアンがすでに存在しているというのは誇張にしても、RNA生化学が想像していた以上にめざましい発展を遂げているのは事実らしく、期待高まる。探査機によって惑星がコンタミされているのでは、というアイデアも興味深い。2013/05/30