内容説明
演劇の上演空間とは常に、観客の視覚のみならず、聴覚にも訴える、情報に満ちた空間である。視覚的なものよりも、「音」や「音楽」こそが劇場の観客に直接作用を及ぼし、強い印象を与えるという見解もあるだろう。演劇における「音」や「音楽」、あるいは「音楽劇」そのものを対象にした、最新の研究成果をここに集める。
目次
1 台詞・音・音楽(マルテッリアーノ詩形と演劇の音楽性―ゴルドーニによるマルテッリアーノ使用をめぐって;文士俳優・土肥春曙の仕事―台詞術に着目して;ミュージカルにおける音楽について―『ウエスト・サイド・ストーリー』を例に)
2 上演(“音楽をもっと大きく!”―『リア王』(The History of King Lear)第四幕第七場において音楽が挿入される意味について
オペラ『蝶々夫人』パリ版再考―演出台本から見えるもの
野田秀樹『半神』にみる音楽的創造力―台詞劇と劇中音楽
ハイナー・ゲッベルスの“ミュージック・シアター”―聴衆/観客を解放する“教材”)
3 社会と音楽劇(定期市の舞台から「ナショナル」な歌劇へ―国家・公権力との関係にみるオペラ=コミックの特質;ノエル・カワードの『作詞作曲』(一九三二)試論―言葉と音楽によるレヴュー
コムデン&グリーンはいかにして「統合」と向き合ったか―『ベルがなっている』と『フェイド・アウト‐フェイド・イン』の劇作術に見る美学
変容し続けるジュークボックス・ミュージカル―ヴィーンにおけるミュージカルとポップ・ミュージックの関係を例に)
著者等紹介
森佳子[モリヨシコ]
早稲田大学・日本大学ほか非常勤講師。博士(文学)。専門はフランスのオペラ、音楽劇
奥香織[オクカオリ]
明治大学文学部専任講師。博士(フランス文学・文明)。専門は近代フランス演劇
新沼智之[ニイヌマトモユキ]
玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科准教授。専門はドイツを中心とする西洋の近代演劇史、演技論
萩原健[ハギワラケン]
明治大学国際日本学部教授。博士(文学)。専門は現代ドイツ語圏の舞台芸術、および関連する日本の舞台芸術(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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