内容説明
古代ローマの歴史家の中でも、リウィウスはその頂点をなす。皇帝アウグストゥスの庇護のもとに、30歳から40年を捧げて編んだ長大な『ローマ建国以来の歴史』142巻は、神話時代から筆を起こし、著者と同時代に至るまでの歴史を克明に記述する。現存するのは35巻と断片であるが、本書はロムルスによるローマ建国の神話から前468年までを扱う。
著者等紹介
岩谷智[イワヤサトシ]
千里金蘭大学教授。1954年愛知県生まれ。1983年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。2004年金蘭短期大学教授を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
5
ロムルスは城壁を築き、市民を3つの大集団とその下部に各々10の小集団を作り、城壁の外をさらに城壁で拡充する。著者が神話と呼ぶのは時間以前のシステムの変化である。が、小集団クリアが法に規定され、執政する貴族(パトリキ)から平民(プレブス)を遠ざける。征服戦争が起こり、クリアが軍団化すると武器の自弁可能な中小農民とその余裕のない貧困市民(プロレタリイ)の間に線が引かれ、戦争で中小農民が没落すると貴族側に資産が集中し、民衆と貴族の闘争が始まる。著者はこの二元的闘争状態が作り出す時間をもつシステムを歴史と呼んだ。2022/07/12
viola
5
リウィウスって、面白くはないですね・・・・。今タキトゥスを読んでいますが、そちらのほうがまだ。断然スエトニウスのほうが面白い。タイトル通りローマの建国以来の歴史なので、アエネアスのあたりから。ザビニ族と言えば女がいないからと集団レイプの話が有名ですが、それ以外にも頻出するんですね。注釈も、訳も良し。ちなみに岩波文庫でも『ローマ建国史』として翻訳されており、読み比べてみたところどちらも変わらないかなーという感じでした。2012/08/07