内容説明
現代の教育制度や教育観の根底をなす18世紀以来の近代教育学は、今日教育が露呈している矛盾や欠陥に対し無力なばかりか、むしろそうした負の現実の根本原因なのではないか?―ポスト・モダン論議が浮上させたこれらの批判に対し、カント、ルソー、ペスタロッチーはじめ、完成された体系の提示ではなく、啓蒙、自律、汎愛を巡る新たな教育学生成時の内実に分け入り、忘れられていた近代教育学のパトスと可能性を浮き彫りにした労作。
目次
序章 近代教育学を問う
第1章 一八世紀近代の教育学的パラダイム(一八世紀啓蒙の地平;啓蒙の哲学と教育学―カントを中心に;近代教育学の範例―ルソー)
第2章 ドイツ啓蒙主義教育学の生成(汎愛派の教育改革運動の展開―『総点検』の成立とその背景;汎愛派のルソー受容;汎愛派の教育学構想―カンペを中心に;汎愛主義教育学の修正―シュトゥーフェェの教育学構想)
第3章 ペスタロッチー教育学の成立(近代化の文脈におけるペスタロッチー;近代の人間学的構想―その教育学的帰結;「メトーデ」の成立;ペスタロッチー教育学の近代的意義)
第4章 陶冶論的教育学への展開(啓蒙主義教育学批判と新人文主義への展開;陶冶理論の構築)
終章―まとめと展望
著者等紹介
森川直[モリカワナオシ]
1945年石川県に生まれる。1972年広島大学大学院修了、1974年上智大学講師、岡山大学教育学部教授を経て、神戸親和女子大学教授、教育哲学専攻、教育学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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