内容説明
明治維新以後、近代日本の急速な工業化は「西洋化」に邁進した事によるといわれるが本当にそうだったのか。実は、日本の資本主義化は近世以来の伝統社会の解体を推し進めたというよりは、西洋標準を軸にしながらも、むしろすでに変質しつつあった伝統社会の動きを背景に、それらとの併存と体制的包摂を進めていったところに最大の特徴があった。近代日本社会の形成を「経済」の視点から明らかにし、全く新しい近代日本像を描き直す。
目次
総論 明治維新の経済過程
1 幕末の市場構造と流通
2 横浜開港と国際市場―生糸貿易と売込商の軌跡
3 税制改革と禄制廃止―地租改正と秩禄処分
4 欧米農業との邂逅と農業政策官僚のネットワーク
5 官営工場と民間工場
6 内国勧業博覧会の歴史的意義
7 社会資本の形成―道路と鉄道
8 在来産業の展開と資本主義