×
小説と現実 from books.google.com
戦後文学に三島を対置することで著者は文芸批評家としての視座を定めた。その秀抜な戦後文学論と愛惜する作家と作品を縦横に論じた評論集。
小説と現実 from books.google.com
... 現実の姿は幾度も変化していく。これが 19 世紀の自然主義的小説論と正反対であることは容易に理解されるだろう。自然主義の純粋客観主義の理論によれば、現実の姿はただひとつの不変のもので、作者はいわば「神の位置」を占めてすべての人物を見通して ...
小説と現実 from books.google.com
著者における「幻想小説」とは何かをいえば、中井英夫のいうごとく、「どんな現実主義作家よりも根強く現実を見すえ」、その凝視がまさしく「人外」だと名指されるほどの冷 ...
小説と現実 from books.google.com
... 現実の生活はそれ自身の生命をもっていたので、他の生き方をする権利がないのだ。小説の神秘力は可能なものを生かせることで、現実を再現することではない」。こうティボーデは言っているが、これこそまさに西欧流ロマンの伝統の概念と見ていいであろう ...
小説と現実 from books.google.com
... 小説としてリアルなことではなくて、小説から離れてリアルなことが小説に書かれているときだ。小説を書くという行為は作業であって、作業というものはそれをする者の事前の意図をこえた精密さを作業する者に要求しはじめる。たとえば塀をペンキで塗って ...
小説と現実 from books.google.com
... 現実にひき寄せて解釈することができない、小説の<現実である。われわれの現実が論理的に分析できるように、小説の<現実もまた論理的である。論理的であるからこそ、小説の主人公を通じて或る人生を知るのではなくて、主人公とともに一つの人生を生きる ...
小説と現実 from books.google.com
... 現実はプロトを生かすために利用された現実にすぎないのだ。そして伝統的な心理小説ではプロットが故意に強く生かされれば、それだけ現実が歪曲されている。伝統的な心理小説の最高の場合には、プロットは常に結果でなばならない。何の結果か。進行する現実 ...
小説と現実 from books.google.com
宮脇 孝雄. 76 補講現実の世界だけでなく、小説の中にも作者と読者がいる小説における読者と作者の関係についてシーモア・チャットマンという小説研究家が著書『小説と映画の修辞学』の中で触れているところがあります。小説はいろいろな箱に入っている ...