日本保健福祉学会誌
Online ISSN : 2424-0036
Print ISSN : 1340-8194
1 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 平山 宗宏
    原稿種別: 本文
    1994 年 1 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
  • 高山 忠雄
    原稿種別: 本文
    1994 年 1 巻 1 号 p. 2-12
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    社会生活を営む上で何らかのハンディキャップを抱える者に対する保健福社支援には、大きく分けて人的支援、経済的支援、物的支援、情報支援の4つの分野がある。従来の保健福祉支援は、人的支援及び経済的支援の比重が高い傾向にあったが、昨今、対象者の主体性を尊重し、さらなる自立の促進への複合的な支援を容易にする物的文援及び情報支援の充実に対する期待が高まっている。わが国において「福祉機器」という名称が登場して約20年あまりであるが、その使用目的は急速に拡大し、現在においては、「ハンディキャップを待つ者が、障害あるいはそれに伴う生活上の問題によって減少した機能を補い、より快適に生活するための支援福祉用具の総称」というものが一般的である。また、「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」が平成5年10月1日より施行され、開発・普及に向けて様々な体制が整備されつつある。本稿では、21世紀の保健福祉支援を担う福祉用具につき、その分類の考え方、福祉用具支給システムの現状、有効活用化及び効率化にあたっての課題等より、福祉用具支援のあり方等を整理し、今後の展開への一助とすることを意図したものである。
  • 安梅 勅江
    原稿種別: 本文
    1994 年 1 巻 1 号 p. 13-25
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    昨今、核家族化の進行、地縁関係の希薄化等に伴う社会的な「子育て支援」へのニーズが高まっている。母子保健福祉支援等において、育児環境を適切に把握することは、支援の際の大前提である。本研究においては育児環境評価の試案を作成し、18か月児及びその養育者103組に対し、育児環境の実態を育児環境の領域別に把握すると共に、他の評価法との比較によりその意味付けを行った。さらに、本評価を実践支援場面に適用した結果、保健福祉支援の評価、支援、効果判定の際に、有用である可能性が示唆された。
  • 中嶋 和夫, 佐藤 秀紀, 安西 将也, 朴 千萬
    原稿種別: 本文
    1994 年 1 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    本研究は今後の老人保健福祉計画策定において、医療費との関連では何を重点施策とすべきかということについて検討した。老人1人当たりの医療費と医療供給実態(病院数、病床数、医師数)、ならびに在宅老人保健福祉実態(保健福祉サービス年間利用日数、保健福祉サービスのマンパワー、保健福祉サービス事業実施施設数)に関する16指標との関連性をステップワイズ重回帰分析で分析した。結果は「65歳以上人口10万人当たり一般病院数」と「65歳以上人口10万人当たり老人保健施設デイサービス運営事業実施施設数」が正の相関を、また「65歳以上人口100人当たりの訪問指導の年間利用日数」が負の相関にあることを明らかにした。特に「65歳以上人口100人当たりの訪問指導の年間利用日数」の増高が医療費の低下に関連することは、今後の老人保健福祉計画の策定にとって大きな示唆を与えるものである。なお前記3指標を用いたときの老人1人当たり医療費の予測値と実際の医療費との重相関係数は0.789、寄与率は0.622であった。
  • 安西 将也, 渡辺 由美, 安西 定, 筒井 孝子, 坂本 雅昭
    原稿種別: 本文
    1994 年 1 巻 1 号 p. 35-47
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    本研究は寝たきり老人をもつ世帯のうち特に今後増加が予想される高齢者夫婦世帯に注目して、介護者(配偶者)個人の介護負担を点数化することを主な目的とした。そのため調査員の聞き取りによって、日本産業衛生学会産業疲労研究会が作成した「自覚症状しらべ」を用いてI、II、III群別に介護者の疲労訴え項目数を調査し、林の数量化I類を用いてその疲労訴え項目数と介護者の肉体的・精神的・経済的状態および介助の内容などとの係わりを分析した。また、T-SCOREを用いて簡便に個人の疲労訴え項目数を点数化した。その結果を以下に示す。(1)訴え項目数の増加に影響する主な項目は、I群では職業(有)、健康状態(病気がち)、介護期間(3〜7年未満)、排泄介助(有)、介護時間(随時)などであった。また、II群では訴え項目数の増加に影響する主なカテゴリーは、寝返り介助(有)、継続の意志(限界)、経済状態(困っている)、職業(有)、睡眠時間(6時間未満)などであり、III群では職業(有)、継続の意志(限界)、健康状態(病気がち)、介護期間(3〜7年未満)、体を起こす介肋(有)などであることがわかった。(2)また、群別の数量化モデルによる予測訴え項目数をT-SCOREによって点数化したところ、どの群において基準値である50点周辺に多くが集中したものの、大きな幅もみられた。以上の結果は、介後者の肉体的・精神的・経済的項目および介肋内容のカテゴリースコアから介護者の予測訴え項目数を算出し、更に、その予測訴え項目数に対応するT-SCOREを求めれば、その介護者個人の介護負担の測定が可能であることを示唆するものと考える。
  • 山本 隆, 杉本 敏夫, 香川 幸次郎, 栗田 修司, 高戸 仁郎
    原稿種別: 本文
    1994 年 1 巻 1 号 p. 48-56
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    岡山県立大学保健福祉総合研究所では、現在の保健福祉行政の最大のテーマである老人保健福祉計画の策定に焦点を当てて、O県下の各市町村の取り組み状況を把握し、計画実施後の中間年のローリングに向けて計画の策定過程における課題や問題点を把握、整理することを狙いとして、実態調査(県下全78市町村)を行った。調査結果から、市町村行政の福祉現場では、計画策定の時間、職員体制、ノウハウ等々がなく、やむなくコンサルタント会社に委託したり、相当量の保健福祉サービスの計上に戸惑うなど、自治体担当者の苦悩が浮き彫りにされた。それでも、市町村がサービスの整備計画を行うという経験をもち、少なくとも保健福祉担当者をはじめとして行政職員の意識に変化が起こり始めている。市町村行政が保健福祉のプランニングとマネージメントに向けて、地域住民の生活実態やニーズ把握を行うという実績を積んだことは貴重であり、今後、住民の切実な要求に対してきめ細かな保健福祉サービスの供給が行われるという期待が調査の中で感じられた。老人保健福祉計画が市町村行政に問いかけたものは、行政計画に対する地方自治体の総合的な政策立案能力や調整能力、行政サービスの継続性、専門職員の学習・育成過程であった。同時に、高齢社会対策、農村の過疎問題、地方財政の問題等への取り組み姿勢も問われたと言える。今後、全庁的取り組み、ニーズの測定、住民参加と広報、適切な情報提供と総合相談窓口の設置、財源の保障、専門職員の増員とマネージメント体制の確立等の課題が克服されねばならない。平成7〜8年の計画見直し時に、専門知識と技術を有するスタッフ中心の全庁的な取り組みの下で、住民参加に支えられた計画の執行が期待される。
  • 藤岡 佐紀子, 八木 義雄
    原稿種別: 本文
    1994 年 1 巻 1 号 p. 57-66
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    本論は保育所低年齢児の間に児られるかみつき行動の原因を明らかにし、その予防の方策を提起することを目的としている。1, 181事例に及ぶかみつき行動の発生時間、場所、状況及び動機の検討と分析によって、当行動の原因の一端が、過密もしくは人的密度の濃さにあることが示された。事例の91%は保育室か他の屋内の場所で生じており、このことは、生態学における「密度効果」を連想させるものである。したがって、かみつき行動を予防するためには、密度を緩和することが重要であり、とくにかみつきの76%が発生する午前中には、子どもたちは戸外で過ごすようにしなければならない。こうした「生態学」的分析とは別に、論者は現在かみつき児に対する保育者の対処について検討をすすめている。保育者の対処の71%は注意と叱責であるが、かみつきの原因や子どもの年齢を考慮すると、注意や叱責は必ずしも妥当ではなく受容こそが本来期待されるものと言えよう。保育者自身、受容が好ましく求められるものであると考えているかに見えるにもかかわらず、かみつきという臨界的場面において保育者はかみつき児の行動を受容することができないのである。ここに、保育者が考える受容の何たるかをさらに究明することが強く求められるのである。
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