出版社内容情報
『源氏物語』の作者として名高い紫式部も,実名や伝記など詳しいことは知られていない.しかし,この集に収められた彼女のほぼ全生涯にわたる歌と詞書は,その勝気で聡明な少女時代から晩年までの生活や心情・人柄などを,細かく感じとらせてくれる.娘・大弐三位,兄・惟規の集も併せ,紫式部研究に不可欠の一冊.
内容説明
源氏物語の作者として名高い紫式部も実名や伝記など詳しいことは知られていない。しかし、この集に収められた彼女のほぼ全生涯にわたる歌と詞書は、その勝気で聡明な少女時代から晩年までの生活や心情・人柄などを、細かく感じとらせてくれる。娘・大弐三位、兄・惟規の集も併せ、紫式部研究にも不可欠の一冊。
目次
校定紫式部集(定家本系)
古本系紫式部集(陽明文庫蔵)
大弐三位集(宮内庁書陵部蔵)
大弐三位集端白切
藤原准規集(宮内庁書陵部蔵)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
114
紫式部の歌集。娘と兄の作品も収録されている。素晴らしい歌ばかりで、心底感動した。このところ英語の小説ばかり読んでいたので、最初は日本の古文が頭の中に入らずに、四苦八苦したが、最後まで読めて良かった。紫式部の歌は現代的で、彼女自身の胸の内がストレートに伝わってくる点が素晴らしい。「年暮れて 我が世ふけゆく 風の音に 心の中の すさまじきかな」私が一番気に入った歌で、1000年以上昔の人が詠んだとは思えなかった。2017/08/01
ダイキ
6
源氏物語ミュージアムの行き帰りに読みました。「数ならぬ心に身をばまかせねど身にしたがふは心なりけり」、「心だにいかなる身にかかなふらむ思ひ知らねど思ひ知られず」、「影見ても憂きわが涙落ち添ひてかごとがましき滝のおとかな」、「むまれ木の下にやつるる梅の花香をだに散らせ雲の上まで」、「年暮れて我が世ふけゆく風の音に心の中のすさまじきかな」、「心ざし君にかかぐるともし火のおなじ光にあふがうれしさ」2016/10/16
双海(ふたみ)
3
世の中をなに嘆かまし山桜花見るほどの心なりせば2013/07/05
HK
1
この紫式部集で、彼女の新しい一面を見出した。ここで彼女は、同時代の他のどの作家とも異なって、表現が明晰である。そもそも私が中古の文学に惹かれるのは、それがまだ、古いものを、古代人の心情を多く残しているためであるが、その心情とは一種の「曖昧好み」「明晰嫌い」であり、「言葉にならない、心情の深さ」である。紫式部集には、この古い心情と新しい明晰な心情の両方がある。また彼女は、物語と日記と私家集を使い分け、異なった自己表現をしている。韻文はスチールのスナップショットのようだ。まだ彼女を上手く語ることができない。2018/09/11
mahiro
1
思ったより読みやすかった。紫式部の娘大弐三位や兄の惟規の歌も入っていて彼らの人柄が想像できるような、千年近くの昔の人たちが身近に感じられてよかった。2010/06/29