岩波文庫
梁塵秘抄 (新訂)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 198p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003002216
  • NDC分類 911.63
  • Cコード C0192

出版社内容情報

今様歌謡の珠玉集.もと二十巻(十巻歌集,十巻口伝集)というが,現在では巻一断簡,巻二,口伝集巻一初頭,巻十のみ伝わる.後白河院は諸芸能に関心をもち,当時行われている雑芸集にならって愛唱の歌謡を集成したもので,当時の民衆の生態を伝え,文学史上,音楽史上,風俗・思想上きわめて貴重な史料である.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

264
治承年間の成立とされるが、時あたかも平家が没落しつつある(治承4年は福原遷都)頃。『方丈記』が書かれたのもその頃だ。すなわち世情騒然とする中で後白河法皇は今様の編纂に勤しんでいた。「遊びをせんとや生まれけむ、戯れせんとや生まれけん」と歌うのである。まさにディレッタントの極みなのだが、篇中にはまた法文歌も多い。「儚き此の世を過ぐすとて、海山稼ぐとせし程に、万の仏に疎まれて、後生我が身を如何にせん」―ここには無常観というよりも、幾分投げやりな厭世観が漂うかのようだ。「日本国第一の大天狗」後白河の実相やいかに。2017/08/11

双海(ふたみ)

17
未熟者なので味わい愉しむところまで到達できません。無念・・・。2015/10/06

S.Mori

7
日本の古典文学の中で私が一番好きな一冊です。昔の歌の一種である今様の歌詞が前半に収められています。素朴で愛らしい歌詞が多くて、読んでいると心が和みます。仏様への信仰を歌い上げたものも多く、こちらは読んでいると心が洗われました。後半は歌に関する覚書でかなり読みにくかったです。この文庫には註や日本語訳がついていません。読んで私が理解していない部分も多いです。「心の澄むものは 霞、花園、夜半の月、上下も分かぬは恋の路、岩間を漏り来る滝の水」好きな詞の一つです。2019/05/18

tom

6
治承年間(1180年前後)の本だから、今からほぼ800年前の歌謡曲を集めたもの。「極楽浄土のめでたさは、ひとつもあだになることなき。吹く風立つ浪鳥も皆、妙なる法を唱へふる。」、「幼き子どもはいとけなし、三つの車を乞うなれば、長者は我が子の愛しさに、白牛の車ぞ興ふなる。」「女の盛りなるは、十四五六歳廿三四とか、三十四五に成りぬれば、紅葉の下葉に異ならず」(こいつは今の世には顰蹙)などなど、なかなか楽しい。今も昔も、人の考えることは、たいして変わらないという証拠のようなもの。2012/06/02

ダイキ

5
今なお清新な詩情の数々。これが明治の末に至るまで埋もれていて、その大部が散逸してしまっているというのは本当に惜しい。「お前に参りては、色も変はらで帰れとや、峯に起き臥す鹿だにも、夏毛冬毛は変るなり。(三六〇)」、「松の木蔭に立ち寄りて、岩もる水を掬ぶまに、扇の風も忘られて、夏なき年とぞ思ひぬる。(四三四)」、「山伏の腰に着けたる法螺貝の丁と落ち、ていと割れ、砕けて物を思ふ頃かな。(四六八)」、「恋しとよ君恋しとよ床しとよ、逢はばや見ばや見ばや見えばや(四八五)」 2017/08/26

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