出版社内容情報
世之介は七歳にて性に目ざめ,漁色の生活をはじめ,十九歳にて勘当.三十五歳にして父の莫大な遺産を受け,これより諸国遊里の好色世界に遊ぶ.現世にあきたらず六十歳にして好色丸にうち乗り,女護島へと去って行く.西鶴の代表作であり,浮世草子の最初のものであり,好色本の開祖であり,また徳川文学の最高峰でもある.
内容説明
世之介は7歳にして性に目覚め、漁色の生活をはじめ、19歳にて勘当。35歳にして父の莫大な遺産を受け、これより諸国遊里の好色世界に遊ぶ。現世にあきたらず60歳にして好色丸にうち乗り、女護島へと去ってゆく。西鶴(1642‐93)の代表作であり、浮世草子の最初のものであり、好色本の開祖であり、また徳川文学の最高峰でもある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
63
『源氏物語』の54帖になぞらえて描かれた、世之介7歳から60歳までの女性遍歴。世之介の好色生活でかかわった女性は4千人を超え、相手は遊女、隣家の女房、腰元、後家、奥女中と節操もなく、女性だけでなく男も相手にしている。捨てられた女たちが恨んで化けて出ても色事はやめらず、獄舎にあってさえ、女受刑者を口説く。そのあまりの好き者ぶりは、呆れかえるほど。ただ、ここまで好き放題できたなら、何も思い残すことはないだろう。2018/04/21
シュラフ
30
どんなにアホなことでもその道を極めるとはたいしたものである。好色一代とはいえ、この世之介という男の生きざまそのものがなにやら哲学的に思えてくる。その生涯での戯れた女は3742人、男色相手は725人だという。7歳にして家の女中を口説こうとするところからはじまり、次々と女を漁りまくる。とはいえ決して楽な道ではなかった。度をはずれた女遊びが親にバレてしまい、諸国を旅する破目になったりとどん底も経験する。そして60歳にしてこの世への未練をいっさい断ち、好色丸と名づけた舟を仕立てて女護島へと旅立つ姿はあっぱれ。2016/07/02
チェ・ブンブン
17
道徳的には酷いのだが、世之介のいつまでも趣味で遊びまくる様子に尊敬を抱く。読みにくい本だが挿絵があるお陰で読み切ることができました(≧∇≦)2013/07/20
亮さん
10
ここまでエロを愛せるとある意味清々しい。妖怪が出てくるあたりは面白い現代風といったところ。2017/08/10
Z
8
西鶴は別の作品をよみたかったのだが、これしか文庫で見かけなかったので、これを読んでみた。岩波文庫の表紙に徳川時代の最高峰とあったが、小説としては秋なりのほうがうえじゃないかと思う。ときとぎ際どい性の表現があり、これが別に風情も官能性も感じない。古語辞典をひきながら読んだのに、ちょっとがっかり。2015/12/31