出版社内容情報
十四世紀フィレンツェの一商人サケッティの名を人々が記憶しているのは,市井の日常茶飯から直接見聞して書いた『短篇小説三百篇』による.警句・冗談・なまぐさ坊主譚・世間話が,或は豚や馬が走り出して市民や役人を騒動にまきこんでゆくさまが,軽妙な語り口で描かれる.現存する二三二篇中から秀逸な七四篇を選び収める.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
misui
8
ボッカッチョに倣った短篇集とのことだがこちらはより世俗的。艶笑・滑稽・機知に彩られた話ばかりで、それぞれの結末でモラルが説かれる。サケッティは画家のジョットと同時代人らしく、いくつかの話に当時の画家(ジョットではないが)の様子が窺える。また、馬や驢馬などが暴走して町が混乱に陥るというのは、おそらくこの時代の人々にとってはわりと身近な出来事だったのだろう。2016/03/26
ユーディット
3
イタリア史、特にフィレンツェとルネサンスについて勉強する人には必読書。短い物語形式で論文が苦手な人でも必ず読める。当時の生活や考え方が生き生きと伝わる。2014/12/23
kaeremakure
2
自作の詩をでたらめに歌っていた鍛冶屋に喧嘩を売るダンテ、教会の聖画を冒涜的に解説するジョット、異端審問官の金玉をつかんで無罪になる破戒僧など、『デカメロン』がお上品に思えてくるほどくだらなくて楽しい。都市国家の軍制が傭兵制へ移行する時期にコンタードから召集された農民兵がどう見られていたのか、逆にジョン・ホークウッドのようなプロの戦争屋がどう見られていたのか、というのも軍事史的に興味深い。ルッカの僭主カストルッチョの逸話はいかにも中世のウォーロードという風情で実にいい。カルミニャノの町人としての矜持も爽快。2018/06/23
Psserby
0
翻訳がひどすぎてとても岩波から出ているとは思えない。
bicirrhosum
0
とにかく獣が走る。人も走る。2013/04/12