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岩波文庫
新編 綴方教室

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  • サイズ 文庫判/ページ数 386p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003320013
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

出版社内容情報

昭和初期の東京の下町に暮らすブリキ職人一家の生活をありのままに綴り,教師の指導記録を付して出版された豊田正子(一九二二―)の文集(一九三七年刊).多くの人々に深い共感をもって読みつがれ,映画・演劇にも取り上げられた記録文学の名作である.続篇の『続綴方教室』や『粘土のお面』からも10篇を抜粋して併せ収めた.

内容説明

昭和初期の東京下町に暮らすブリキ職人一家の生活をありのままに綴り、教師の指導記録を付して出版された豊田正子(1922‐)の文集(1937年刊)。多くの人々に深い共感をもって読みつがれ、映画・演劇にも取り上げられた記録文学の名作である。続篇の『続綴方教室』や『粘土のお面』からも10篇を抜粋して併せ収めた。

目次

『綴方教室』より(いかに指導したか;佳作「うさぎ」とそのモデル問題;習作四篇;停滞期の作品;優秀作「にわとり」他三篇;「困っていた頃のこと」他二篇;優篇「きつねつき」その他;その後の入選作三篇)
『続綴方教室』より(彩色屋;小山田三郎;芸者 ほか)
『粘土のお面』より(海水浴;粘土のお面;無縁仏 ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

seacalf

22
森絵都さんの『みかづき』に登場していたのが気になって手に取る。小学四年生が書いた綴方=作文が添削過程と共に掲載されているのだが、この綴方がべらぼうに面白い。昭和初期当時の風俗がいきいきと描かれていて目を見張るし、風景や人物描写、文のリズムなど小学生とは思えない出来映えで舌を巻く。家族や近所のどたばた加減、脱線話なんかを読むのも非常に楽しい。何より、極貧にねじ曲がらない少女の人柄の良さが読んでいて清々しい気分になる。鈴木三重吉の選評が詳しくて参考になる。そこいらの時代小説よりも、本物。一読の価値高し。2017/02/19

loanmeadime

21
私の記憶でいちばん古いのは、あの綺麗な青い橋はどうなっているんだろうと堀切橋を越えて、荒川堤をどんどん歩き、途中で怖くなって帰って来たことです。その三四十年前、四ツ木橋のたもとで豊田正子は川端康成が「文学の故郷の泉」と評した綴方を書いていたんですね。セザンヌがモネを称して「ただの眼だが何と素晴らしい」と言ったそうですが、この小学生は文章を書くモネですね。綴方教室と聞いて四代目柳亭痴楽さんしか知らなかった我が身の不明は今更恥じたりしません。解説を読む前は少し覚悟を決めて。 2021/08/20

きいち

21
冒頭に掲げられたやる気のない「作文」から、その場の人物たちが抱える感情が浮かび上がってくるような優れた「綴り方」まで、たった一年しかたっていないことに驚かされる。こりゃ指導した先生も舞い上がるよな。◇書くことで眼が鍛えられ、考えが深まっていくスパイラル、その過程が目撃できる本。しかし、すごい観察眼。アウトプットすることの意義を改めて実感できる。◇そして、母お雪がなんといっても魅力的。いろいろ自分勝手だったりするけど生活力もポジティブな言葉で日々を楽しむ力もあって、正子の文はそのリズム感を際立たせてくれる。2014/01/13

mike

9
「みかづき」を読んで、気になりお取り寄せ。10代の少女正子の文集なのだが、もう豊田家のノンフィクション。貧困家庭に育ち、時に殺伐とした親子関係。文化的な生活とはほど遠い。それであってこの描写力、秀逸な言葉の選び方。特に、余韻を残す最後の一文。林芙美子が「あんなにじっと見る子を養女にするのは嫌だ」と言ったらしいが、ごもっとも。「綴方教室」が大ヒットし、映画・芝居にもなっていながら、一銭も豊田家に入らず、窮乏した生活が一向に変わらなかったことに、強い憤りを感じた。2019/08/16

mitya

9
綴り方を習ったことによって、著者は自分の生活を見つめて、客観的な思考も養い、書くという喜びを得たようだ。東京下町の貧しいブリキ職人の家庭だが、ありのままに綴られていることで、そこに生きる人々(特に両親)は活き活きとしていて、会話のやりとりも面白く、著者自身も成長している様子が伝わる。特に「粘土のお面」に収録されているのが良かった。2016/09/10

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