出版社内容情報
従来の仏教を,出家者中心,自利中心と批判,在家者を重視し,利他中心の立場をとろうとする,紀元前後のインドで起った仏教革新運動を大乗仏教という.この大乗仏教の根本教義を理論と実践の両面から手際よく要約した本書(五,六世紀頃成立)は,中国・日本の仏教者に愛読され,大きな影響を与えてきた.現代語訳を付す.
内容説明
従来の仏教を、出家者中心、自利中心と批判、在家者を重視し、利他中心の立場をとろうとする、紀元前後のインドで起った仏教革新運動を大乗仏教という。この大乗仏教の根本教義を理論と実践の両面から手際よく要約した本書(5、6世紀頃成立)は、中国・日本の仏教者に愛読され、大きな影響を与えてきた。改版にあたり新たに現代語訳を付す。
目次
大乗起信論(原文・読み下し)(序文;正宗分;流通分)
大乗への信心を起こさせる書(大乗起信論、現代語訳)(本書述作の動機〈因縁分〉;主題―大乗とは何か〈立義分〉;詳細な解説〈解釈分〉;信心の修行〈修行信心分〉;修行の勧めと修行の効果〈勧修利益分〉)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
33
漢文に満ち満ちているので苦労しながら読み終えた(書き下し文も掲載されているけれど) 自らが悟りに到達し阿羅漢となることを目的とする小乗ではなく、自己の解脱よりも衆生を救済することを目的として、空と菩薩を尊ぶ姿。信仰ってどんなものでも結局は自らのためではあると思うけれど、それを踏まえても、ありとあらゆる人間を救いあげてやるという姿勢は、高慢で傲慢かもしれないが、それでも人間が人間らしく到達出来る尊さの一つの形なんじゃないかなとぼんやりと考えた。衆生救済。悩み苦しみからすくい上げるために生きる。2019/04/07
misui
12
大乗起信、つまり大乗への信心を起こさせるということで大乗仏教の理論と実践を説く基礎的文献。衆生に仏性が宿っている(如来蔵思想)けど煩悩で汚れているから修行に励んで悟ろうぜなどと書いてある。直前に読んだライプニッツの単子論とダブるところがあってちょっと気になる。2017/08/07
かず
11
おもしろい!「この一言に尽きる」としかいいようがない。日本は仏教国なのに、こういう知的好奇心くすぐられる本がうち捨てられている現実に、憂慮を禁じ得ないと共に思わず嘆息してしまう。平安末期の民衆は、救いを求めて仏教に新しい潮流を引き起こした。現代にそういう潮流がないということは、なんだかんだと言われながらも平和な証拠である。当時とは比べものにならないであろう。本書は、空と縁起によって「空間的にも時間的にも全ての事柄は独立せず、全ては自己と一連なりである」と思い至ると、内容がすーっと入ってきます。2014/12/25
HANA
11
大乗仏教の教えをまとめたもの。内容としては如来蔵思想が中心。それにしても相変わらず漢文からの直訳はわかりずらい。読みながら大乗になっても仏教は心を治めるものだと再確認。このように心が自分の意のままに治まったらどんなに素晴らしいことか。と意のままにならぬ凡夫は考えるわけです。2011/09/18
記憶喪失した男
9
めちゃくちゃ難しい本だった。300ページくらいのうち180ページは漢文と書き下し文なので読んでない。現代語訳なのは110ページくらいである。仏教は一切皆苦が基本概念だが、「大乗起信論」は苦をなくすことを目指していると書かれている。作者は馬鳴菩薩。日本の仏僧が頻繁に語る「四門出遊」の原典かと思って読んだが、そんなことは書いてなかった。ぼくの知る限り、「四門出遊」を書いた仏典は存在しない。誰かもっとちゃんと調べてほしい2019/01/06