出版社内容情報
十月革命の直前にレーニンが発表したマルクス主義国家論の代表作.唯物史観にもとづき,国家の歴史的役割とその階級的本質を解明し,資本主義国家を分析批判して,プロレタリアートは革命に際して既成の国家機構を暴力的に粉砕し,新しいプロレタリアート独裁の国家を樹立しなければならないことを明らかにした.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ex libris 毒餃子
8
暴力によって、ボリシェヴィキ以外の党派・既存の政体を粉砕することを記述した革命論。1917年以降のことを考慮するとその徹底さ・冷徹さはスターリンに引き継がれていると言えなくもない(レーニンはスターリンを後継者にすることに反対的であったにも関わらず‼︎)2016/06/12
Rion
3
英語訳を読了。マルクス、アナーキズム入門書として読んでも面白いかも。何度もエンゲルスを引用しながら、国家と革命の関係を論じる。民主主義について解説している点が面白かった。民主主義が全員の政治参加権を保障しながら、作られた政府が全ての人々を平等に扱うわけではないという関係は、民主主義の弱点であり、アナーキストの権力集中体に対する革命を支持することになる。共産主義も効力を失い、民主主義で覆われるとされた世界もまだまだ終点は見えない。「代表政府のない国家」を想像することはできないが、再考すべき問題かもしれない。2017/02/17
yendows
3
レーニンはこの本で、マルクス=エンゲルスの正しい解釈として、特定階級の搾取の為の暴力機関である国家は揚棄されるべきであると言っている。また、それはプロレタリアート独裁を暴力革命で実現し、生産手段の独占を廃止し、そして必然的に国家の死滅によって起こるとも言っている。力強い文体で読みやすく、特に最後の章「1905年と1917年のロシア革命の経験」が途切れており、あとがきにて”「革命の経験」をやりとげることは、それ(革命についての章)を書くことよりも愉快であり、有益である。”との言葉がすてき。2009/08/22
マナ
2
世界史で見たことのあるレーニンの著作。共産主義に関する事前知識ゼロで読んだので、序盤はハテナマークでいっぱいだったが、同じ結論が何度も繰り返させるのでなんとなくわかってくる。資本主義社会→暴力による革命→プロレタリアートによる独裁社会・共産主義社会の第一段階→国家の死滅2018/07/31
千住林太郎
1
ロシア革命のさなかに書かれた記念碑的文書である。レーニンによると、国家は支配階級のための収奪装置であり、プロレタリアの代表を議会に送ることはプロレタリアの解放をもたらさない。むしろ、暴力革命によるプロレタリアの独裁の確立により、国家の機能を漸進的に死滅することがプロレタリアの解放につながると説く。具体的には武装した人民による軍隊の廃止、国家公務員の俸給を労働者並みに引き下げることが国家の死滅に向けた措置である。 社会民主主義と無政府主義の双方を批判し、ボリシェヴィキの優位性を主張するパンフレットである。2022/01/20