出版社内容情報
超俗の詩人と呼ばれる陶淵明は「桃花源記」のユートピアなど,中国では他に例をみない虚構の世界を描いている.1600年前に現代に通じる鋭さと深さで人生をうたった大詩人に,親しく作品を読み込みながら肉迫する.
内容説明
超俗の詩人と呼ばれる陶淵明は、「桃花源記」で身分の差のないユートピアを描き、「挽歌詩」においては自らの死を悼むなど、中国では他に例をみない虚構の世界を通して内面を探求し、苛酷な実社会と関わろうとした反俗の詩人でもあった。千六百年前、現代に通じる鋭さと深さで人生をうたった大詩人に「虚構」という切り口から肉薄する。
目次
はじめに 陶淵明と「虚構」
1 桃花源記―ユートピア物語
2 五柳先生伝―架空の自伝
3 形影神―分身の対話
4 山海経を読む・閑情の賦―怪奇とエロティシズム
5 挽歌詩・自祭文―「私」の葬式
おわりに なぜ「虚構」か