講談社現代新書<br> 日本人の法感覚

講談社現代新書
日本人の法感覚

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  • サイズ 新書判/ページ数 205p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784061489509
  • NDC分類 320.4
  • Cコード C0232

内容説明

正義や倫理が犯罪と結びつき、刑事裁判に情状が働く。法的手段を嫌い、調停や行政指導に向う風土。義理と人情、雷同性など、日本人特有の法に対する深層構造をさぐる。

目次

第1部 規範意識(正義と犯罪が結びつく;記号としての天皇制;平和と同調;国策になった近代化)
第2部 権利の表われかた(信仰の不思議;表現権の汚染;財産権の変容;平等の論理)
第3部 秩序形成の心理(行政の体質;司法権神話;自治の行方;日本型民主主義の個性;処方箋としての総括)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さきん

30
この本は、もっと世の中に知られても良い良本。日本人にとっての法感覚は欧米人のそれとかけ離れている。欧米においては、神の意志の反映である法は正義そのものであるが、日本においては、法はあくまで表向き、または対外的な体裁を整えるものに過ぎず、正義はその人の内面や、取り巻く共同体に宿っている。なので、不利な裁判結果を受けてもほとんどの日本人は控訴を重ねることなく、粛々と判決を受け入れるのを良しとする。憲法も実態と乖離しても放置されるのは、法が日本人に内面化されていないというのも一因と感じた。2020/05/08

うえ

7
「日本の法文化のなかで正義と法は必ずしも一致しない」「乃木希典が…与えた衝撃は…法的責任が解かれても、多数の将兵を戦没させた責任は免れないという規範意識に気づかせられた」「欧米の近代法制では…神の与えた戒律に行きつく構造になっていたから権利を主張し義務を履行することがただちに倫理性を有した」日本にも影響ある「アメリカの独立宣言は「神の法」のもとでの権利を宣言し…正義にもとづく制定を宣言している。日本国憲法が「人類の多年に渡る自由獲得の努力の成果」…「諸国民の公正」に信頼すると規定しているのと対照的である」2016/01/28

Ohe Hiroyuki

3
大学の公開講座「法と文化」をベースに書き起こされた一冊。規範意識、権利の表われ方、秩序形成の心理との見出しを見ても本書のユニークさが分かる。▼本書では「なぜ、日本人は忠臣蔵を好むのか」を掘り下げていく。新書であることもあって著者の論述の典拠を探すのに苦労し、また、文体や事実として記載される内容に違和感を覚える部分がある。▼しかし、法と文化を切り分けて、その連関性を論じるという視点は、重要であろうと思う。本書では大日本帝国憲法も日本国憲法も近代化の一環でしかないという結論が導かれるが、その過程が重要である。2023/09/29

田蛙澄

1
明治憲法にしろ、日本国憲法にしろ、欧米諸国のに歩調を合わせるために受け入れたものであり、聖書の文化に根差した法文化を参考にした憲法が日本の文化に適合するはずもなく、そのような齟齬が、我々に司法に対する非情なイメージを形成させ、また欧米に合わせようとするトップダウンな適応自体が、地縁的なコミュニティを希薄にさせたという分析は面白い。たしかにドイツなどの地方文化と違って、日本は自治会単位などのコミュニティからボトムアップで住民自治が働くという構造が明治以来弱くなったのかもしれない。ただ宗教的分析自体は雑な印象2018/06/07

青ポス

0
日本人にとって立憲法治国家という概念は輸入されたものなので、本来のそれと異なる運用をなされているという本。言わんとすることはわかるが、なぜか途中で突然遠山の金さんと筆者が対談を始めたり、「平賀源内の筆で書くと」とさも引用してるかのような文が出てくるので、マナーがなってないなと思った。2022/02/28

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