講談社現代新書<br> 異端審問

講談社現代新書
異端審問

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  • サイズ 新書判/ページ数 218p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061493124
  • NDC分類 192.3
  • Cコード C0222

内容説明

ヨーロッパ中世を血の色に染めた狂熱の炎。徹底的に排除され裁かれた「異端」の脅威とは何か。史料を渉猟し、キリスト教社会の闇に迫る。

目次

第1章 薪と硫黄の匂い―異端審問とは何か
第2章 剣と火と異端者―異端審問の誕生まで
第3章 異端審問創設の頃
第4章 異端審問の制度化
第5章 審問官ベルナール・ギー
第6章 裁かれる者たち
第7章 スペインの火刑台

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うえ

7
「異端審問が普通に思われているほど恣意的専断的な処断をしたでないことは見てきた通りだが判決は「刑罰(ポエナ)」という言葉を使っている。審問官たちが刑罰として認識していたことは明らかだが、本来の精神からいえば、火刑は棄てたのだから、そもそも教会とは無関係である。その他は悔悛と贖罪なので刑罰ではないはずだ。だから…異端審問には贖罪と敬虔のわざしかあり得ないのだが、等級つきの刑罰を宣告する整備された裁判になった」「宣告がくだれば…審問が終ったのではない…判決は後日変更して加重することが…司教の一存で可能だった」2016/09/27

鐵太郎

6
異端審問というおどろおどろしいイメージの社会制度を、中世フランスを中心に歴史を追って描き出した一冊。おもしろい、というのはあきらかに語弊があるが、この陰惨な歴史を淡々と読みやすい文章で広げて見せた著者の筆致が素敵。欲をいえば、アルビジョア十字軍の扱いが、もっと深くてもよかったのに、というところかな。モンセギュール陥落があっさりしすぎて残念。w2014/01/08

茶幸才斎

4
12世紀の南フランス地方において、俗にカタリ派と呼ばれる異端の出現に合わせて歴史に登場し、「世俗の腕」の協力が得られなかったり、民衆の強い抵抗に合ったり、ときに命懸けの活動となりながらも、13世紀にはようよう制度として安定するに至った異端審問の内実について、各種史料から解説した本。生物の特徴の一つは、自己と非自己の厳しい峻別にある。ヒトもまた同じ。ヒトの精神活動にまで滲み出てくる、この生物としての生理的欲求を、宗教の局面において正当化しようとした試みが、異端審問の制度化だったのかなぁ、などと漠然と考える。2012/04/27

T.Y.

3
もっぱら南フランスに始まる異端審問の成立史。審問官自身の記録や手引書を用いて「異端審問官気質」なるものを見出す。単に権威をふるい民衆を弾圧するばかりではない審問官の実態が描かれており面白い。最終章は異端審問が国家権力と結び付き、ユダヤ・イスラム教徒狩りの嵐も吹き荒れたスペインの話でこれも興味深いのだが、あとがきにもある通り、こちらはメインではない。なお、当然のことと思っているのが部分的な記述に留まっているが、中世末~近世の「魔女狩り」とは別物。2013/01/31

mob

2
よくイメージされる恣意的な異端審問より、現実はずっと悪質なものだった。恣意的なものなら、人間には良心の咎めがあるので、もっと何百年も早く終わっただろう。 実際には処断だけでなく審問の風向きも「世俗の腕」の顔色次第で、ミー●ゥーリンチの類を想起させる衆愚感が漂う。現代にもサンプルが残る同調圧力で人間を潰すシステムなら、長く続いたのはスッキリ理解できる。 何百年経っても、一神教型の考え方はたいして進化していない。独裁者が無茶苦茶やるより、一つの価値観のために同調圧力で動く方が社会の予後は悪い2021/02/15

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