出版社内容情報
【内容紹介】
13歳で叡山に登り30年に及ぶ南都北嶺での修行の後、無知な人びとをも救いたいという思いから、難行を捨て阿弥陀仏の本願に救いを求める称名だけを選びとった浄土宗の祖・法然上人。専修念仏により善人、悪人にかかわりなく往生できるとする法然思想の形成過程や浄土宗の成立・発展、鎌倉新興仏教の先駆者ゆえの苦難にみちた80年の生涯を鮮やかに描出。法然研究の第一人者による書き下ろし。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keint
4
法然及び浄土宗について法然の著作物や経典を引用して解説している。彼に帰依した武士たちが多いことを初めて知った。また、法然も悪人正機説に近い考えを持っていたことも初めて知れた。2019/12/03
ホシ
4
これも実家の本棚にあって、読了したのを思い出したので追加で登録。自分は親鸞が大好きだけど、法然上人を知らずして親鸞聖人は理解できないので、買ってお勉強。でも、だいぶ前に読んでほとんど忘れちゃったので、もう一度読み直したい。深く自己を見つめた親鸞もかっこいいけど、民衆救済の道を必死で模索した法然の求道精神もかっこいい！2016/02/09
はるたろうQQ
2
端正で重厚な伝記。文書の引用が多く、資料によって語らせる。法然上人の人生には出家、専修念仏への帰入、弾圧という三つの山があると思う。このうち弾圧、特に遵西の殉教に至るまでの記述は精彩に富む。それまでの仏教では救われない人々、特に武士や庶民に救いを与えたので爆発的に広まり、既成教団からの弾圧を受けた。この教えは誰もが煩悩具足する凡夫で、救われるとすれば阿弥陀仏の力以外にないということであり、この確信はどのように掴まれたのか。父の遺言に基づいた修行の末と思うが、資料がないからか、ここは淡々と記述されている。2020/03/07
可兒
1
親鸞より人間味のあるエピソードが多い師匠の話。また読もう2011/04/12
ppp
0
僧のための宗教から民衆のための仏教へ、といっても、浄土宗自体は専修念仏以外の修行を積極的に退けるわけでもないが、かといって阿弥陀仏を優先する態度を貫く姿もあり、興味深かった。浄土宗は女性、武士も往生できると説くが、それでも髪伸ばしたり所帯を持つことは禁じるなど、浄土真宗に比べるとやや厳しいところもある。引用にはほとんど要約が付され、また浄土宗以外の人物、立場も十分に踏まえられており、全体的に分かりやすく、好著だと思う。2013/07/12
