内容説明
幕末の志士は明治政府「創業」にいかに係わったのか。官僚として新政府の基礎を築きあげた大久保利通。志士的資質から遂に脱しきれなかった西郷隆盛、木戸孝允。そして脱藩の郷士、草莽の志士たちのさまざまな生き方、反乱、暗殺事件…。維新期の混乱の中で形成された「官僚」の本質を斬新な手法で解明し、歴史に新たな視点を加える好著。
目次
序章 「創業」の政府
第1章 新首都で新政を(世直しと錦絵;遷都論の諸相 ほか)
第2章 維新官僚とその政治(朝臣の出発;官僚の構想)
第3章 明治の志士とその行動(志士の類型;志士たちの明治)
第4章 政治と私の空間(政治史の裏舞台;女達の維新史 ほか)
第5章 志士の発想と官僚の論理
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月世界旅行したい
7
明文化されてないことがらとかはどうしても推測になってしまうなぁ。大久保利通は酒を飲めないふりをしてただけかもしれないと思ってみたり。2015/03/28
でん
0
志士のまま終わってしまった人と、官僚として出世していった人とを、「私」の発現の程度で表現しており、「私」を「公」より優先させた行動をとった者は政府にとって「異物」でしかない、という理論には納得させられた。2015/01/07
雪
0
木戸孝允を開明派の官僚というよりは志士的資質を持つ人物として論じていた。でも納得。維新後の西郷と大久保が歩んだそれぞれの道はそのまま並行線を描く明治の志士と官僚の軌跡だった。2010/12/13
T
0
特に2章が面白かった。 一藩士として長州藩への忠誠を誓っていた広沢真臣が、朝臣に任命されて帰属意識を藩から朝廷に転化させるまでの過程を、史料をもとに推論する。 2019/02/07