内容説明
日本の二五倍の面積をもつアメリカ。それを構成する五〇の州は、日本の「県」ではなく、いわば「国家」である。風土も文化も法も異なる独立国家五〇「州」はどんな素顔をしているのか。それらと連邦政府との永遠のせめぎあいとは何か―。地域社会の綿密な踏査と歴史史料の読み解きにより、巨大国家の多元性を浮き彫りにする、ヴィヴィッドで鮮烈なアメリカ論。
目次
第1章 州境のむこうの別世界(州という独立国家;州のアイデンティティ;アメリカ人のふるさと、州)
第2章 七ブロックのアメリカを見る(ニューイングランド―知的エリートのふるさと;ニューヨーク―非アメリカ的な巨大都市;中西部―果てしない小麦畑、平均的アメリカ人 ほか)
第3章 州と連邦とのせめぎあい(連邦政府という怪しげな存在;州と連邦との相互コントロール;州はどのようにして成立したか ほか)
著者等紹介
松尾弌之[マツオカズユキ]
1941年、旧満州(現中国東北部)生まれ。64年、上智大学外国語学部卒業後、76年、米国ジョージタウン大学大学院博士課程修了。現在、上智大学教授。専攻はアメリカ史
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感想・レビュー
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RYU
1
50の州(国家)というアメリカの多様な地域の特徴を紹介。7ブロックにわけるとすると、ピューリタニズムの伝統が息づく知的エリートのふるさとNew England、非アメリカ的(巨大すぎること、多民族すぎること)な大都市New York、果てしない小麦畑・平均的アメリカ人Midwest、優雅な貴族社会の伝統South、厳しい自然と自主独立の気風Rocky Mountain、強烈な太陽・強烈な欲望Southwest、自由で知的でリッチな世界Westcoast。2018/09/01
水無月十六(ニール・フィレル)
1
50の州からなる国アメリカ。それぞれが独自の法をもち、また住む人々の思想や性格も地域によって違う。州と連邦政府はお互いに監視する関係にあり、時に協力し、時に対立してきた。ゴースト国家アメリカというような表現が出てくる。私たちが一般に、「アメリカが・・・」と話すときのアメリカとは一体どのアメリカなのか。普段あまり意識したことのなかったことだが、アメリカ合衆国という国がいかに広大で、いかに不思議で、いかに興味深いかを知ることができまた。是非一読を。2014/06/16