内容説明
初めて中国統一をなしとげ「始皇帝」を名乗った男は、以後二千年、連綿と続く中華帝国システムを築いた。郡県制施行による中央集権体制の確立。度量衡の統一と文字・貨幣の制定。さらには焚書坑儒として伝えられる思想・言論の統制と、万里の長城の修築…。兵馬俑に守られた広大な陵墓に葬られた稀代の英雄の生涯と真実を、中国古代史の泰斗が活写する。
目次
第1章 奇貨居くべし―始皇帝は呂不韋の子か
第2章 逐客令―秦国の発展
第3章 統一への道―六国併合
第4章 天下統一―皇帝の誕生
第5章 咸陽―阿房宮と驪山陵
第6章 天下巡遊―刻石と『雲夢秦簡』
第7章 方士と儒生―封禅と焚書坑儒
第8章 祖竜死す―秦帝国の崩壊
終章 秦時の〓轢鑽―後世の始皇帝評価
著者等紹介
吉川忠夫[ヨシカワタダオ]
1937年生まれ。京都大学文学部史学科卒業。専攻は中国史。2000年に京都大学人文科学研究所教授の職を退き、現在は花園大学国際禅学研究所長
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感想・レビュー
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Chicken Book
10
「朕」という自称はこの人が決めたのですね。国を統一し、すべて一から始めることの偉大さと苦労がよくわかります。多くの人間を一つに統率したいという考え方は今の中国にもつながるところですね。2021/11/14
ちゅん
3
秦の始皇帝の生涯にスポットを当て、 懇切丁寧に説明した書。 中学・高校の歴史で習って名前は覚えている …という方は多いかと思いますが、 政(始皇帝の諱)がどんな人となりであったのか、 どのような取り組みをしたのかを 言える人は多くないかもしれません。 でも、そのような人でも分かりやすい言葉で 理解できるのが本書です。2019/04/27
おらひらお
3
2002年初版。中国でも翻訳された始皇帝本。わりと概説的ですが読みやすい一冊です。2017/03/21
俊
2
焚書坑儒に反対した長男が後を継いでいれば、少なくともあんな滅亡の仕方はしなかっただろうなぁ。李斯がもう少し頑張ってくれていれば…。今度は始皇帝やこの時代を描いた小説も読んでみたい。2013/11/10
タムーチョ
1
非常に面白く興味深い内容でした。 秦の始皇帝 嬴政は間違いなく傑物だったように思えます。中国史上初めての成功と言える中央集権国家の構築や貨幣、文字の統一、皇帝という単語の発明など。 この体制らは漢に受け継がれ、後の中国の基盤となっています。 ただ、彼は政策の浸透を急ぎ過ぎただけなのです。2021/06/18