内容説明
「ぼくは生れて眼に麗色をみることを、ことのほか喜ぶ癖をもっている」―この告白ではじまる「愛婉癖」の由来を、幼き日の古き良き東京の風景の中に、長じて友との遊興の中に、また戦時下の北京の生活の中に追懐する“ヴィタ・セクシュアリス”。中国文学者、粋人奥野信太郎が、明治・大正・昭和と移ろう都市風俗と男女の道の風流を、滋味あふれる文体で描く随筆集。
目次
童情縹緲録
暁鴬因縁
深巷雑談
緑蔭の記
雲漠々
花寂々
潮来竹枝
借中秋記
旧雪雑記
故都芳草
幽燕悲愁
山河在
著者等紹介
奥野信太郎[オクノシンタロウ]
1899年生まれ。1920年(大正9年)4月、慶応義塾大学文学科予科に入学。1925年(大正14年)5月卒業。1968年(昭和43年)死去
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感想・レビュー
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ハゲ
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女中がおしっこをするという記憶から始まるし、両親が死んで荒淫溺酒のために不動産を売り払ったと年譜にあるので、これはと期待したが、1959年に書かれたからか、著者が大学教授のためか、すけべな描写はない。戦前の中国で著者と親しかった中国人たちはその後どういう人生を送ったのだろうか。2014/03/03
hachi_gzk
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中国文学者奥野信太郎の幼少の頃から、終戦後にかけての女性に関する話を12話纏めたエッセイ集。昔に発売された本であるから、表現や街の描写などが今とは違って上手く思い描けない処も有るけれど、女性の肢体や容貌、言動は昔から不変であるので、その部分だけでも興味深く読める。というかタイトル通り女性に纏わる描写で魅せる箇所が沢山有る。2008/07/13