内容説明
パリの下町で怪しげな老人からモジリアーニの幻の絵の存在を聞き出した女子学生ディーはイタリアへと向かった。彼女の動きを嗅ぎつけたロンドンの画商達がその跡を極秘に追う。一方、大家至上主義のロンドン画壇へ憤りを募らせる気鋭の前衛画家は友人の美術教師とともに復讐を画策する…。企みと企みが複雑に絡み合うストーリー、巧緻な仕掛け、そして意外な結末を用意した野心作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Panzer Leader
44
「針の眼」で日本デビューした作者のそれ以前に書かれた作品。モジリアーニの幻の絵画や贋作詐欺を巡る群集劇スタイルの美術サスペンスと言えるが、登場人物や場面がコロコロと変わりストーリーが把握しずらい。最後の最後に種明かしがなされてやっと納得。それにしても有名画家の贋作なんてそんなに簡単に描けるものなのかと思ったが、解説を読むとどうもそうらしい。その上ある贋作者の作品群が「本物の偽物」と認定されて人気が高いとか。うーん、ディープな世界だなあ。2018/12/28
Jun Shino
3
そこそこ面白かったが、期待したものはなかった。 美術史専攻の優秀な女子学生ディーは巨匠たちと付き合いのあった老人を訪問、モジリアーニの幻の作品の話を聞きイタリアへと向かう。嗅ぎつけた画商たちがイタリアへ集結する。一方で贋作詐欺が進行。2つのつながりのタネが最後に明かされるという流れ。お色気も散りばめてあり、構成が上手で、種明かしを隠して最後まで興味を持たせる、テクニカルな作品だ。「謎の名画」ものはやはり面白いネタだ。しかし、モジリアーニへの造詣を深めたかったのに、うんちくは全くなく、大マイナス点だった。 2018/04/11
やすもっち
3
久しぶりのケン・フォレット。『大聖堂』『針の眼』を読んで以来、お気に入りの作家。本作もそこそこに面白かったが何か物足りない感じがしないでもなかった。登場人物がやや多いのと、主人公の?デリアの存在感がやや薄いのかな・・・・。でも、ちょっと洒落た感じの物語の展開は、見事。安心して読めるのは、さすがケン・フォレット。★★★☆2013/05/16
Crystal.B
2
これだけ登場人物がいるわりに、場面が次々に展開されるので、「あれ、この人誰だっけ?」が何度もありました。いつもの大作レベルにそれぞれを描き込んでほしかったですが、伏線と回収の仕方は一応、納得しました。ということは、ディーとマイクが主人公ってことでいいのかな?モジリアーニの作品はこれまでそれほど興味がなかったのですが、どんな人だったのか、ちょっと調べてみたりして、美術鑑賞という意味では楽しめました。2015/03/22
motopurin
2
新しい人物が出てくるたびに、登場人物欄を確認、ってやっていてなかなか先に進まなかった。ほかのフォレット作品のようにのめりこんで読めなかった。現代が舞台だからかな。2011/02/03