中公新書<br> フォークナー―アメリカ文学、現代の神話

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中公新書
フォークナー―アメリカ文学、現代の神話

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  • サイズ 新書判/ページ数 234p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121011398
  • NDC分類 930.28
  • Cコード C1298

内容説明

アメリカ深南部の伝統への根強い関わりと、近代性への熱い憧憬。二つの力の激しい葛藤から、『響きと怒り』『八月の光』『アブサロム、アブサロム!』など登場人物の語りが重層的に響き合う濃密な物語りが織り上げられた。サルトル、パヴェーゼ、マルケス、そして井上光晴、中上健次。二十世紀文学に深い影響を与え、新批評から新歴史主義に至る多様な批評に耐えて読み継がれるフォークナー文学の魅力を、社会的、歴史的背景の中に捉える。

目次

1 小説に向って
2 小説家の誕生
3 成熟と苦悩
4 後期の新しい文学地平
5 「宇宙の要石」としてのヨクナパトーファ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

k5

59
大学一年生のときにフォークナーを講読する授業を取って、全然英語が読めなかったのが苦い思い出です。最近では実用の英語に慣れてきたけれど、それでも原書は読めないだろうな。翻訳では『響きと怒り』や『アブサロム、アブサロム』を読んで、理解できないなりに大好きですが、この本を道標にもう一回読んでみようかと。作品論のところは、小難しいことを言って誤魔化す書き方でなく、あらすじを語っているように見えるのに魅力が伝わる、素晴らしい本だと思います。2021/11/15

ころこ

32
フォークナーを前衛的モダニズムと、アメリカ深南部の因習的な風土の狭間で起こる摩擦から生まれた文学と規定しています。誰でも思いつくことですが、これは、戦後復興による近代化と四国や紀州の土着的な時空間との狭間で感じた疎外がテーマだった大江健三郎や中上健次らと同じではないか、ということです。フォークナーによるテクストの切り貼りによるコラージュ的方法は、大江がよくやっているのを以前TVで観ました。コラージュにより話者が変わることをポリフォニーといっており、暴力的なところも含めてドストエフスキーが意識されています。2019/02/05

fseigojp

19
いまは殆ど絶版になったフォークナー世界の貴重な見取り図2016/04/29

7
フォークナーは大酒飲みで女好きの、豪胆な人物だというイメージがあったのだが、若い頃の彼はモロに「文学青年」的な人物だったらしく、酔っ払って人前に現れるのも人見知りを誤魔化すためのものだったらしい。そういったある種のナイーブさを持った人が、モダニズムの先鋭的な表現によって骨太な「血と土地」の物語を紡いでいったというその両義性こそが彼の作品の魅力なのかもしれないと思った。後世への影響力で言ってもトップクラスの人なので来年翻訳される『ポータブルフォークナー』によって日本でもフォークナーブームが起きて欲しいです。2016/10/17

パオー

6
フォークナーの生涯の概観とすべての長編•主要な短編のあらすじと解説。著者の解説が良いのもあると思うけど、あらすじだけでこんなに胸を打たれるとは思わなかった。いやむしろ、フォークナーの小説は僕の読解力では読み進めるのに精一杯で、この本なしには彼の偉大さにまだ触れたことがないも同然だった。あの小説はそもそもそういう話だったのかとか、あのシーンにはそういう意味があったのかとか、自分は今までフォークナーの何を読んでいたのだろうかと反省。読みたい本がたくさん増えたけど、近いうちに「響きと怒り」を再読する方が先かな。2013/02/11

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