中公新書<br> パンとワインを巡り 神話が巡る―古代地中海文化の血と肉

中公新書
パンとワインを巡り 神話が巡る―古代地中海文化の血と肉

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  • サイズ 新書判/ページ数 230p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121012678
  • NDC分類 209.3
  • Cコード C1222

内容説明

人間は動物を殺し、大地を傷つけ、植物を刈り取り、果汁を搾り取ってきた。この加害者としての人間の罪の意識は、人類の初期から宗教的儀礼の根底を形成していたと考えられる。本書は、葡萄と小麦の文化圏である地中海の沿岸各地の主要な儀礼を訪ね、ディオニューソス、ヘーラクレース、エレウシースのデーメーテール、ナザレのイエスなどの神話を巡り、日々食べ飲む存在としての人間の罪と贖いの意識の始まりを探る試みである。

目次

第1章 パンとパパ
第2章 食の英雄ヘーラクレース
第3章 神の御名と種入れぬパン
第4章 ワインの祭典
第5章 デーメーテールの恵み
第6章 パンとサーカス
第7章 パンの神殿

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遊未

8
キリスト教のことが中心ではなく、ギリシャ神話その他含み、特にイエスとヘラクレスが関連付けられています。その賛否はともかくとして、そうも言えるか?ですが、確かなことは人も動物も生きるとは他を殺し食すること。全てはそこに始まり帰結します。過ぎ越しの「種なしパン」についてかなり良く説明されていました。2022/01/23

shizuca

5
楽しかったし面白かったです。言葉や歴史や民俗学、大学の講義を受けているような文体でさくさく読めました。言葉って面白いなぁ。神話って面白いなぁ。とページをくるごとに思えてきます。もちろん解釈の違う論者もいると思うので、違う著者さんで同じような内容のものも読んでみたいです。2016/03/15

サアベドラ

4
パンとワインにまつわる神話や儀式を軸に古代地中海世界を巡る。福音書はヘラクレス神話を下書きにしてる、など色々と興味深い話が書かれているが、比較神話学的なものには疎いので定説なのか著者の独自の主張なのかよくわからない。神話というとギリシアやヘブライ、エジプトなど言語文化圏別に見がちだけど、当時はそんな線引き誰も考えてなかったんだよなーという当たり前のことに気づくことができた一冊。文体にちょっと独特なクセがあるので人を選ぶ。2012/02/03

Masakiya

3
「そもそも共同の屠りと共食儀式は、罪の公平分配であった。」ギリシア神話のヘラクレスや聖書の伝説の裏にあった(であろう)人間の心性をつづっている。獲物の体から流れ落ちる自分たちと同じ真っ赤な血。徐々に温かさを失い冷たくなっていく肢体。その時に起こる感情が罪の意識の原型にとなったことは想像に難くない。2016/12/23

印度 洋一郎

2
パン、ワインという「食」をキーワードに、ギリシャ神話からキリスト教誕生までの地中海文明を探ろうという本。語り口が面白い、文体が読み易いとリーダビリティの高さは感じるが、ここに断言されていることが学術的な定説なのかどうかという疑問がわく。人間の「食」は「殺し」と表裏一体の関係にあり、食べ物を得るための能力(暴力)をどうコントロールするかで人類は秩序を形成してきたらしいと指摘はなかなか説得力がある。聖書は、先行していたギリシャやメソポタミアの神話を元ネタにしているという指摘もありそうだが、認めない人も多かろう2015/02/15

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