内容説明
東京は、幕末史のテーマパークだ。道端や空き地にも、ときには堂々と、ときにはひっそりと過去のドラマが息づいている。桜田門、坂下門など頻発するテロの現場、新選組のふるさと、彰義隊の落武者にまつわる怪談…。本書はペリー来航から西南戦争までの四半世紀に繰り広げられた有名無名さまざまな事件の跡をたどる、「足で読む幕末通史」である。巻末に幕末維新関係者千名の詳細な墓地所在地リストを付す。
目次
第1章 開国の激震(高島秋帆の洋式調練;「正気の歌」の碑 ほか)
第2章 攘夷の嵐(遺米使節の碑と新見正興の墓;愛宕山に集結した「桜田烈士」 ほか)
第3章 内戦の炎(御用盗の江戸攪乱;薩摩藩三田屋敷焼き打ち事件 ほか)
第4章 挫折する夢たち(久留米藩の「九志士」;襲われた江藤新平 ほか)
東京掃苔録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オリーブ
9
この本を片手に今の東京を幕末の志士の姿を偲びながら歩いてみたくなる。例えば今では“上野の西郷さん”の下で記念撮影をしたりとほのぼのとした光景が広がる上野公園も幕末は壮絶な戦いがあった場所だったとは信じられない気もする。私も実際に訪れたことがあるのだが、その西郷さんの銅像の後ろに彰義隊の墓があるのに驚いた記憶がある。勝者が敗者になったりと明日はどうなるか分からなかった幕末。今の日本をどんな目で見てくれるだろうか。そんな風に考えながら歩いてみたくなる。京都篇もあるようなのでそちらもいずれ読みたい。2015/06/14
丘野詩果
3
文学散歩で上野へ行った時、彰義隊のお墓をみて、清水寺で上野戦争の絵や弾が天井に飾られているのをみたから、読んでいて、実感がすごく湧いてくる。東大の辺りから、アームストロング砲で上野山を撃ったんだよね。自分の足で歩くとよくわかる。東京は歴史の宝庫であり、幕末の痕跡だけでもたくさん残っている。彰義隊の敗残兵の遺体がいまだにあちこちに眠っていて、骨が発掘されたり、怪談めいた話が残っていたりして、興味深い。今まで漠然としか知らなくて、分かりにくい幕末の背景が、ひとつづつのエピソードを読む事でつながってくる。2013/03/15
にゃん吉
2
東京の多数の史跡を読み物的に短く紹介し、幕末、明治維新期の歴史をたどる。吉田松陰や相楽総三をはじめとして、権力の推移とともに、罪人、賊であったり、忠義の士であったりと、死後の評価や処遇が移り変わる者が多いのに、時代の激しさを感じました。その当時は大義ありと信じて行動した幾多の人の存在が歴史を作っているのだなとしみじみとするものが。史跡を通じて歴史が描かれている一冊かなと思います。最後の掃苔録は圧巻(読むのは少しツライですが)。 2019/06/01
鈴木誠二
2
開国後、火薬増産のため、江戸各所の無理やり水車小屋で火薬を製造しようとしたが、慣れない作業のため水車小屋の爆発事故が頻発したエピソードが実に印象的。いつか、この本を片手に都内歴史散歩をしたいものであるよ。2014/06/20
komeri
2
大学図書館本:読み終わるまで長かった・・。幕末では己の目標に成功した有名な人物より影で支えたり失敗した人の方がおおいんだな~って思った。2011/08/07