目次
サド侯爵の生涯
補遺 一九六四年(マルキ・ド・サド『悪徳の栄え(続)』第二版あとがき
エディプスの告白―映画「フロイト伝」に寄せて
桃源社版『マルキ・ド・サド選集』第五巻あとがき ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
梟をめぐる読書
10
『マルキ・ド・サド選集』(桃源社)の翻訳・編纂に関わっていた時期の文章ほか、サド評伝の決定版である『サド侯爵の生涯』を収める。サドに心酔していた澁澤が書いただけあって「文学者サド」としての精神的美化の傾向は見られるが、ここから三島由紀夫の『サド侯爵夫人』のような戯曲の傑作が生まれたのだと思うと感慨深い。改めて読むと、サドの作家としての才能を開花させた時期の短さ(バスティーユ幽閉のおよそ七年間)とその旺盛な創作量のギャップに驚く。自らのライフワークとして、澁澤ほど永くサドを意識し続けた作家は他にないだろう。2013/05/15
季奈
0
本巻の殆どを占めるサド侯爵の生涯は、三島由紀夫の戯曲『サド侯爵夫人』の執筆動機となった。 浅薄な見解を述べさせてもらうとすれば、単なる精神倒錯の医学用語に過ぎなかったsadismを、世に膾炙させた一因が本作にある。 なぜなら、解題にもあるように、これほどまとまった形でサドの年譜を追った論文は、これ以前には存在しなかったからだ。 しかし、人生の3分の1以上を牢獄で過ごし、燎原の火の如き怨恨をモチベーションとした作家の、シュルレアリスムや実存主義的な評価が世人に知られる時代は、未だに到来していないようである。2020/08/07
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