内容説明
本書では、短編小説家としてのメルヴィルを紹介し、その短編がいかに面白いかを、メルヴィルのすべての短編小説を読むことで、作品に沿って明らかにした。すべての短編が1853年春から55年の初頭に書かれている。これは、作家的創造力がピークの時期にあたる。
目次
第1章 住む(住み着いたピクチャレスク・トラヴェラー―「ピアザ」;ピクチャレスク・トラヴェラーをまねて―「魔の島々」)
第2章 暮らす(自分の姿を笑って―「リンゴ材のテーブル」;汝その愛する妻とともに喜びて暮らせ―「私と私の煙突」)
第3章 隠す(率直に語れない語り手―「貧者のプディングと富者の食べ残し」;暗示する語り手―「独身男たちの楽園と乙女たちの地獄」 ほか)
第4章 欺く(欺こうとする人びと―「鐘塔」;共犯関係にある語り手―「おめでたい失敗」)
第5章 生きる(人間雄鶏として生きる―「コケコッコー」;異常に興奮していた理由―「避雷針売りの男」 ほか)
第6章 演じる(小刻みにふるえている身体―「ジミー・ローズ」;かたりもの―「バートルビィ」 ほか)