内容説明
「壁をペンキで塗る」と「壁にペンキを塗る」の意味の違いは?校則を「破る」ことはできても、校則が「破れる」ことはないのはなぜ?―文の要としての動詞を10タイプに分け、英語と日本語を対照しながら、その意味と構文に関する最新の成果を整理して示す。
目次
序 動詞研究の現在
第1部 動詞の意味を探る
第2部 構文交替のメカニズムを探る
第3部 主語の特性を探る
第4部 動詞の造語力を探る
著者等紹介
影山太郎[カゲヤマタロウ]
関西学院大学文学部。主な著書に『日英比較 語彙の構造』(松柏社:市河賞)、『文法と語形成』(ひつじ書房:金田一京助博士記念賞)、『動詞意味論』(くろしお出版)、『語形成と概念構造』(共著、研究社出版)、『形態論と意味』(くろしお出版)、『単語と辞書』(共著、岩波書店)
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感想・レビュー
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センケイ (線形)
2
名詞編でお世話になったが、英語学習を兼ね、いよいよ動詞に着手。一見不思議な諸現象も、動詞の基本構造、〈行為〉→〈変化〉→〈結果の状態〉を考えることでクリアーになるさまは鮮やか。諸ルールが例外だらけに見えるにもかかわらず我々が言語を習得出来るのはなぜか示唆される、大変刺激的な内容だ。具体的には、英語の二重目的語構文は、O1がO2を所有する状態になることを意味するという。give ならともかく、baked me a cake. という一見不思議な表現、およびその受身形が取れない理由等が、見事に説明できるのだ。2019/05/01