内容説明
十数年に及ぶ摩阿陀会を舞台にかつての生徒たちとの長年にわたる交流、自らの老いを軽妙に描く。摩阿陀会恒例の百〓先生ご挨拶は秀逸。
目次
華甲の宴
摩阿陀会
華甲二年
無伴奏
門の柳
きょうの瀬
墓木拱ならず
第七回摩阿陀会
未だか十二年
摩阿陀十三年〔ほか〕
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫丸
14
摩阿陀会経緯を叙した文章を集めた。生来の坊ちゃん気質が漱石憧憬と合して、うまい具合に漱石滑稽の骨法を継承できたのが百閒の徳であった。百鬼園先生いつまで生きるつもりかと危ぶむ昔の学生が摩阿陀会の先生への記念品を何にするか問答「墓石を買っておきましょうか」「動産だね」「それに先生が御自分で字を書かれて」「僕がお墓の字を書くのか」「そうすれば、あとで字が気に入らないなどと云われなくて、うるさくないです」「後で何も云うわけがないじゃないか」「そうですけれど、わかりませんからね」2020/11/23
桜もち 太郎
5
黒澤映画にもなった「まあだかい」。百閒先生、還暦の昭和26年から19年続いた「摩阿陀会」。頑固ジジイが我が儘放題。それでも年々参加者が増えていく。なんだかんだ言って人間大好きな百聞先生の人徳だろう。それにしても現代でこれほどの文章を書ける人はいるのだろうか・・・。芸術院会員辞退の「イヤダカラ、イヤダ」の件は何度読んでも笑える。会えるものなら会ってみたい人だ。2014/07/15
かんたろう
5
毎回の「摩阿陀会」の席での百けんの挨拶が面白い。真面目にしゃべっているのかと思いきや実は人を喰ったようなことを言っている。彼の性格がわかるようである。それにしても還暦から21年、晩年は本人が不在だったが、毎年このような会が催されるというのはすごい。百けんの人柄なのだろう。黒沢の映画「まあだだよ」のモデルになった話なのだとか。まだ見ていないが、いつか見てみたいものである。2012/11/20
tei
4
良いなあ良いなあ。私もまあだかいに参加したかった。上品な文章なのにユーモアは健在で、所々に哀愁が漂う。この文章を書いたときはすでに高齢だったはずだが、気力の衰えは見られない。百閒先生のように生きたい。2011/08/30
へちゃむく
4
これほどまでに軽妙洒脱な作家を知りません。人柄というか思想が軽妙洒脱な上に書く文章がそれに輪をかけて軽妙洒脱だからこれを越すのは到底無理でしょう。2008/10/13