ちくま学芸文庫<br> 空飛ぶ円盤

ちくま学芸文庫
空飛ぶ円盤

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  • サイズ 文庫判/ページ数 254p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480080578
  • NDC分類 440.4
  • Cコード C0111

内容説明

UFOの存在を示す確証は何もない。しかし、心的存在としてのUFO現象は古代にまで遡ることができ、その中心には円い物にまつわる幻視や伝説、神話がある。ユングはそれを曼陀羅へ通ずる全体性の象徴と見、そこには人類の深い過去に根ざした元型があると考えた。象徴比較や夢解釈を駆使して、現代の神話としてのUFO現象を分析し、心的全体性を回復する契機にしようとした、ユングの生前に刊行された最後の著書。

目次

噂としてのUFO
夢に現われたUFO
絵画におけるUFO
UFO現象の歴史
心理学以外の観点から見たUFO

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

garth

14
「 UFO体験にともなう心理的体験の中心をなすものは、円いものの幻視ないし伝説である。それは全体性の象徴であり、曼陀羅形成のうちにその存在を告げる原型である。曼陀羅は普通、困惑や無力感をともなう状況にあって出現することが、経験から知られている」ユングはオカルトにはまって云々言われることが多いんだけど、そんなに単純なものでもないんだよねえ。たしかにかなり怪しいことも言ってるからそこだけ切り出すとオカルトになっちゃうんだけど、全体としては知の全体性を回復すべきだという主張なのだと思う。2011/07/19

白義

13
古代の神話や象徴からもUFO現象の正体を探り、それは世界の全体性を意味する曼陀羅、現代の人々が分裂や機能主義からの脱出、全体の再生を求める集合心理現象だという。液体金属のイメージをメルクリウスと繋げ、華麗な夢分析や絵画、SF分析を行う博覧強記はさすがユングって感じ。ユングの超心理学自体が科学の領分を逸脱しているのを度外視しても、UFO神話が全体性への希求と指摘したのは的を得ている感じがする。アダムスキー以降、多くのコンタクティが宇宙人を超越的な精神を備えた存在として描いていることからもそれは明ら2012/01/10

∃.狂茶党

10
親本を読んでの感想です。 新訳を出すべきではないだろうか。 『現代の神話』(直訳)とのタイトルは、ナチズムも念頭にあったと思われる、ユングはリアルタイムでナチスを無意識の暴走と見ていた人だ。 迂闊にこのタイトルをつけたとは思えない。 何かしら単一の捉え方をすることは、弱さである。 人は弱い故に神話を生きる。 世界と象徴について私たちはまだ何も知らない。 ユングによれば、心理学は揺籃期を抜けていない。 なぜ、UFOが、オカルト枠で語られるかについて、本書はよく説明してくれる。 2022/12/24

roughfractus02

6
第二次大戦後に急増するUFO目撃談を、著者は集団幻視のケースと捉え、現代の新たな神話形成の場面として見る。神話とは集団が作り出す現実であり、集合的無意識の元型がその時代の不安を通して実体化したものである。古代中世の人格化した神は、外(無意識)に対する象徴表現だったが、啓蒙主義と科学の時代では外が消失し、意識が無意識を抑圧する傾向が強まると同時に、不安を伴うと無意識の投影の力が発揮できる状態を伴うことになる(神経症)。現代は核物理学と原爆の物理的力への不安が、円盤という形に投影されている、と著者は仮説する。2021/05/30

Ex libris 毒餃子

6
ユングの最後の著作がUFO関係というのが当時の関心の高さを伺える2016/06/04

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