ちくま学芸文庫<br> 自然の権利―環境論理の文明史

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ちくま学芸文庫
自然の権利―環境論理の文明史

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  • サイズ 文庫判/ページ数 506,/高さ 16cm
  • 商品コード 9784480084668
  • NDC分類 519
  • Cコード C0110

内容説明

人間の歴史は自然破壊の歴史でもあった。自然を征服することによって、われわれは文明を築いてきたのである。現在、環境破壊は全地球的となり、人間の文明自体を破壊するという逆説的な問題を提起するにいたった。このような状況下、著者ナッシュは、「自然には生存権があり、倫理的共同体に帰属できる。…倫理的な平等という概念を全体としての生態系へと拡大していく」という権利の拡大による、倫理の拡大の必要性を説く。本書は、「生態学思想」を基盤として、哲学・宗教・心理学などが環境倫理思想へと転換していく歴史的過程を冷徹に捉えた思想史的著作であり、自然を守り、未来を考えるための必読の書である。

目次

プロローグ 倫理の拡大と急進的環境主義の展開
第1章 「自然権」から「自然の権利」へ
第2章 アメリカの環境主義とそのイデオロギー的起源
第3章 生態学が生物学的世界を拡大する
第4章 宗教の緑化
第5章 哲学の緑化
第6章 自然の解放
エピローグ 奴隷制度廃止論、環境主義、アメリカ自由主義の限界

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ハチアカデミー

6
米国における「環境倫理」成立史。建国時より「自由」に絶対的な価値観を置く米国において、黒人解放運動は一つの成果である。それによって、己のアイデンティティを獲得したとも言えるが、その「解放」は、マイノリティのから人間では無い存在へと目が向けられる。動物の権利、植物の、鉱物の権利を巡る考察は、やがて地球そのものへの権利へと目が向けられる。という流れを丁寧に追うことのできる一冊。宗教と哲学に与えた影響までも考察した点が、本書の価値でもある。とはいえ、言葉を持たぬ自然に権利を認めることの難しさも提示されている。2013/10/29

★★★★★

4
環境倫理思想についての極めて浩瀚なレビュー。自然保護思想の誕生から近年の急進的環境主義まで、欧米の環境思想史が丁寧におわれてゆきます。大部かつ読みにくい訳だけど、非常に勉強になりました。面白かったのは、急進的環境主義者は自然の開放を奴隷解放闘争と同じ構造と捉えてるってとこ。そりゃ法も「文化」も目に入らないわけだ。もちろん、彼らが少なくとも他国に対してやってることは、帝国主義的ノスタルジア以外の何物でもない愚挙ですが、嘲笑するだけでなくきっちり反論していくためにも、文脈を知ることは重要だと感じました。2011/02/21

Yoshi

1
地味に買ったのは4年前、自分の積読歴の中でも最初期に入る本。 ようやく読み切ったが環境思想を全体的に網羅した分かりやすい書だった。 古くはアッシジの聖フランチェスコからスピノザ、エマソンやヘンリーデヴィットソロー、ヘンリー・ソールト、アルド・レオポルド、ジョン・ミューアやレイチェル・カーソン、マレー・プクチンやピーター・ジンガー、マーティン・ルーサー・キング等、自然を軸にした環境倫理の生育者たちが如何に解放へ向かっていったかを書いていて興味深かった。2021/01/21

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