内容説明
すべての芸術は生の文脈とのかかわりを持つ―写真が発明されて以来、人間はさらに多くの膨大なイメージに取り囲まれてきた。そこでは、「見る」という行為が人間にとって不可避な事態として浮かび上がってくる。それは自らの生の経験の蓄積を、歴史・社会・文化と構造的に対峙させることでもあった。ザンダー、ベーコン、マグリットらの作品を通して「見るということ」の地平から、人間の本性と文明にまで肉迫する。強い影響力を持つ新たな美術批評の形を模索していった著者による、写真を学ぶ人、美術を語る人、必携の美術評論集。
目次
なぜ動物を観るのか?(なぜ動物を観るのか?―ジル・エローに捧ぐ)
写真を使う(スーツと写真;苦悩の写真;ポール・ストランド ほか)
生きられた瞬間(素朴派と専門家;ミレーと農夫;シーカー・アーメットと森 ほか)
著者等紹介
バージャー,ジョン[バージャー,ジョン][Berger,John]
1926年、ロンドン生れ。美術批評家、脚本家、小説家、ドキュメンタリー作家。美術教師などを経て著述業に入る
飯沢耕太郎[イイザワコウタロウ]
1954年、宮城県生れ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、筑波大学大学院芸術学研究科博士課程修了。写真評論家
笠原美智子[カサハラミチコ]
1957年、長野県生れ。明治学院大学社会学部卒業後、シカゴ・コロンビア大学修士課程修了(写真専攻)。東京都現代美術館学芸員
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あなた
8
ジョン・バージャーはおもしろい。寡作だが、もっともっと本を書いてほしかった。けっきょく、生きるってことは、〈みる〉ってことだ。〈みる〉ことで、ひとはいきていく。権力も、セクシュアリティも、ジェンダーも、欲望も、力への意志もすべては〈みる〉ことへ収斂していく。とくに本書では動物園論が秀逸。ついでに『メディアとしての動物園』も読もう2010/09/16
たこやき
3
知ってる画家のとこだけ読みました。ロダンが絶倫だとかジョルジュ・ド・ラ・トゥールが割と悪代官だったとか俗っぽい内容もあって最近読書運ないなぁと思ったものの、ベーコンとDisneyの比較が面白い。疎外感という事態を感傷的に描くか絶望的に描くのか。2015/07/30
ゆとにー
3
長いこと積読の状態で気になってたけど、後半は言ってる事の意味が分からんのも多くて、はあ読書メーターのための読書になってるなとため息付きながら読んだ。2015/03/02
kokonoe38 / 九重ミワ
2
ごめん、なに言ってんだかほとんどわかんない――― 表紙にカバーがかけられ、そこには3つの単語だけが書かれている。某書店に設置された「三題噺文庫」コーナーより2冊目、「見るべき」「視ること」「見る見解」が提示された本作。最初の動物の話はあまりにも難解で挫折しかけたが、中盤の写真の話は自身の趣味の話でもあるゆえ比較的読めた。琴線にふれるページはいくつかあったので、時間をおいて再読したい。2020/01/24
あっさん
1
結構前に読んだ本。 美術評論家であり元々高校の美術教師だったというジョン・バージャー 彼が話しているのは、まさしく芸術の本質だろうなぁと思う。 特に、主体と客体の話が動物園の檻を例に展開され、結構楽しかった。 しかし、動物と人間には隔たりがあるし、平等じゃないのは決してわかるんだけれども。 それでもさー、ペット可愛いじゃないと個人的には思ってしまったり、なんだったり‥、 (他にも服装に関してのヒエラルキーについての話などなど、ロランバルト的な話も面白いです。おすすめ!)2016/02/01