出版社内容情報
日本滞在中に自己の信念を吐露した講演「空間の旅・時間の旅」をはじめ、自作との関連、歴史の旅、作家論、美術論などテーマに沿って選ばれたエッセイ集。
内容説明
「死の相」から「詩の想」へ。研ぎ澄まされた批評的エッセイ。
目次
『皇帝列伝』における歴史の相貌
歴史小説における口調と言葉
ああ、わたしのお城、きれいなお城
時、この偉大なる彫刻家
高貴なる敗北
三島あるいは空虚のヴィジョン
ボルヘスあるいは「見者」
ある慎ましく輝かしい女性
美術通りのワイルド
ピラネージの黒い脳髄
デューラーの夢
ベックリンの「死者の島」
空間の旅・時間の旅
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月音
1
タイトルはラストの章題から採られているが、収録の論考すべてに通じるものがあり、セレクトの妙を感じる。ハドリアヌス帝、シュノンソーの女城主たち、三島由紀夫、ボルヘス、ピラネージ、デューラー…。国と時間を超え、あらゆる史料・古典作品がひもとかれる著者の思索の森を歩むのは容易なことではない。該博な知識と独特の皮肉めいた語り口もあってか、人物・作品に対する率直な思いや考察の結論をつかみにくくもある。期待して読み、それが裏切られないのは澁澤訳の三島論だ。これは作品論であり、人物論でもある。⇒続2024/01/24
