出版社内容情報
西洋哲学は主として人間の知的な動きに人間らしさを求めてきた。この主知主義に基づく近代科学の偏重に翳りが見え始めた現在,人間を感情・意思・身体を含めた諸機能の総合とみなして「人間学」を唱えた哲学者達の思想に改めて注目する必要がある。人間を総合的全人として理解する哲学的人間学の特質を,カントの人間学,シェリングの人間学的図式,フォイエルバッハによる神学の人間学化,ニーチェの超人思想,ハイデガーの現存在分析などの章をもとに考察。総合的全人という人間の新たな自己理解の形を提唱している。
1.人間学と人類学
2.哲学における人間観
3.科学と技術の時代
4.カントの人間学(1)
5.カントの人間学(2)
6.シェリングの人間学的図式
7.フォイエルバッハによる神学の人間学化
8.ディルタイの生の哲学
9.シェーラーの哲学的人間学
10.キルケゴールの実存思想
11.ニーチェの超人思想
12.ヤスパースの実存開明の考え
13.ハイデガーの現存在分析
14.欠如態の人間
15.人間学の総合性