内容説明
ハイウェイをさっそうと走りぬけるキャデラック、カー・ラジオからはロックンロールが流れ、車は摩天楼へとすいこまれてゆく。そこには成功と繁栄の夢があり、デモクラシーへの絶対的な自信があふれていた。…一転、舞台はヴェトナムへと移り、戦争の泥沼、そしてドラッグ、人種暴動、家庭の崩壊、失業とホームレス等々、精神的に、また経済的に疲弊したアメリカの姿が生々しくあらわれてくる。…かつての、輝かしく、力強いアメリカは再びやってくるのだろうか。
目次
1 夢の魔法
2 移民の歌
3 アメリカン・ドリームの原型
4 マッカーシズムとアメリカ人の精神
5 「ホーム」を求めて
6 アメリカン・ウェイ・オブ・ライフの夢と現実
7 「中心」を喪失するアメリカ
8 そしてみんな、いなくなった
9 映画製作の夢と現実―デニス・ホッパーをめぐって
10 アメリカの将来―21世紀に向けて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
高橋 橘苑
13
1993年の古い本だが、労作だと思う。個人的にアメリカンドリームと言えば、ボビー・ウーマックのバラード曲「アメリカンドリーム」と、間奏的に流れるキング牧師の有名な「I have a dream 」の演説を連想してしまうが…。アメリカは最初からそこにあった国でなく、ピルグリムファーザーズ以来の理想と、古い忠節を捨て、新しい人生に参加することを通じて民族的差異を氷解させる理念を掲げて来た国である。「アメリカンウェイオブライフ」を求め、夢という魔法に魅せられ、意志を持ちリスクを乗り越えた先にそれはある。2015/03/01