ツヴァイク伝記文学コレクション<br> エラスムスの勝利と悲劇

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ツヴァイク伝記文学コレクション
エラスムスの勝利と悲劇

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  • サイズ B6判/ページ数 328p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622046660
  • NDC分類 943
  • Cコード C0397

出版社内容情報

最初の宗教改革者としてカトリック教会制度を批判、信仰の内面化に道を開いた人文主義者の生涯。

内容説明

ルネサンス最大の人文主義者、ロッテルダム出身のエラスムス(1466頃‐1536)。最初の宗教改革者として、カトリック教会の制度を批判し、聖書の校訂を行い、古代文献の紹介によって、信仰の内面化に道を開いた。その後ルターが宗教改革を唱えて勢力を伸ばした際は、カトリックそしてプロテスタントいずれにも組せず、自由な思考を貫いた。ナチスの影がヨーロッパを覆い始めた時期に、ツヴァイクのヒューマニスティックな思想を開陳する評伝。他に「世界大戦中の発言」として五篇の論文、講演「ヨーロッパ思想の歴史的発展」を収める。

目次

エラスムスの勝利と悲劇(使命と人生の意味;時代への展望;暗い青春 ほか)
世界大戦中の発言(不眠の世界;うれい知らぬ人びとのもとで;ベルタ・フォン・ズットナー ほか)
ヨーロッパ思想の歴史的発展

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

26
タイトルに“勝利と悲劇”とあるからには、もろ栄枯盛衰を味わった人物なのだろう。よく知られているのは『痴愚神礼賛』というタイトルくらいか。高名な司祭と医師の娘の間に生まれたエラスムスは、庶子だったことに加えて相次いで両親を亡くし、後見人によって寄宿学校に入り、親族の意思によって修道院に入る。聖職者としての人生がいわば最初から決められていた。「カトリック教会を批判した人文主義者」というのが後世の評価だが、ツヴァイクは、後に登場するルターが明らかに対立派だったのに対し、エラスムスは融和主義だったと断じる。2022/04/14

NICK

8
表題作だけを読んだ。16世紀ルネッサンス時代の偉大な著作家エラスムスの伝記。カトリックの司祭でありながら、人間の内的な自由を奪う狂信や熱狂といった偏狭さを遠ざけ、理性を重んじ、自由を尊んだ人文主義者エラスムス。彼の人文主義的平和主義は結局ルターの宗教改革という民衆の側からの乱痴気騒ぎによって頓挫してしまった。しかし、彼の嫌った狂信やそこから来る党派性は16世紀だけのことではなく現代もなお問題として残っている。何らかの党派性にコミットするよりかは、「エラスムス流」に普遍的な価値の追求をしていきたいものだ2014/06/25

スミレ雲

3
【図書館本】エラスムスの人柄が伝わってきて、魅力を感じる。圧倒的な言葉の引き出しがあり、繰り出される言葉に深さや重みがある人なんだろうな。16世紀前半をリードした教養人。人文主義者、ユマニスト。エラスムスとルターとの対立軸がハラハラし、自然と読み進めた。時の皇帝がカール五世。このあたりの時代から大きく、中世から近代に入っていく芽生えがあるんだろうな。2019/10/16

貴人

3
この本ですっかりエラスムス萌えにさせられました。女体化やりつくした感がありますし、そろそろ学者などの魅力的な人物をとりあげてくれないだろうか。幸薄そうで、虚弱体質、本の虫で、書物の世界において巨人、ありとあらゆる分野に興味をもち、平和と寛容を愛し、多くの世界に種子をまくも自分では解決しない。ルターの強靭、独善、熱血、暴風的な人物とはなんと好対照なことか。勿論エラスムスは敗れる、ツヴァイクが最後自殺したように。だが、最後に彼らが吐いた言葉を絶望ではなく、永遠の希望としての平和への希求だった。願いとは成就する2014/10/04

猫森

2
ルターのジャイアニズムに唖然。味方でないなら敵、この単純な二元論への巻き込みによる争いの過熱は、残念ながら現代にいたるまで続いている。二つ良いことは並列して存在せず、光は必ず影を生む。しかし理想は理想として、エラスムスが残したもの・目指したものを改めて考えたい。ツヴァイクは、エラスムスに自分を重ねることが少なくなかっただろうと思われる箇所がちらほら。あーもー、エラスムスもツヴァイクも、何で死んじゃったの、バカバカ!(無茶言うなよ)2014/10/11

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