出版社内容情報
ミルチャ・エリアーデ[ミルチャ エリアーデ]
著・文・その他
石井 忠厚[イシイ タダアツ]
翻訳
内容説明
今世紀を代表する宗教学者エリアーデの処女作品。中世の超越者と宗教道徳から自然と人間を解放し、古代哲学の復興をめざしたユマニストたちをいきいきと描きまた知られざるスペインのルネサンスにも光をあてる。百花繚乱のルネサンス思想を簡潔に読みとる好著。1927‐28年のイタリアを見聞した貴重な旅行記を併録する。
目次
ルネサンス哲学(ユマニスム、公会議とギリシア人の到来;古代的諸価値の復興と超克;スペインにおける哲学的ルネサンス)
イタリア紀行―1927‐1928
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
6
本書は、大学入学前に公開した論文や小説が100本を超えたという著者の最初の刊行物(学士論文)だという。本書で著者は、超越性をシステム化した中世教会から神秘的実在に直接向き合う古代哲学を掘り起こすルネサンス期のユマニストたちを取り上げつつも、1920年代母国ルーマニアの世俗政治の激動に面して、聖への精神的態度をもって向き合う新たな人間の到来の期待が重ねられる。そこには後世の宗教学研究から批判される著者の本質主義への確信がある。著者はどの文化にも人間的時空を超えた宗教性があると考え、本書執筆後インドへ向かう。2021/07/16
wanted-wombat
2
著者の処女作らしい。それだけに読みづらい。というか、前提とされている知識が多く、それについての考慮がないまま論が進む。注は付されているものの、その注の量も多く文章の流れが断たれてしまう。入門書には不適。イタリア紀行はそれに比べると些か読みやすいが、やはり時代背景などの知識が必須に思われる。高山宏氏の著書を読んでも思ったことだが、やはり歴史を知らねばならないんだなぁ。2013/09/22