内容説明
なぜ西欧文明の「優等生」が突然「問題児」へ変貌したのか。この謎に迫るために、国民生活の様相やメディアの役割を探り、さらに満州国統治や技術発展の実情を解明。国民意識の視点から、“戦争の時代”を考える。
目次
大日本帝国の崩壊(「優等生」の変貌;国民の相剋と協調 ほか)
1 満洲国の実験(満洲国を問う方向性;満洲の地域的特徴 ほか)
2 映画に描かれた前線と銃後(政府の宣伝戦略と映画;戦前・戦中期における映画の呼称と分類 ほか)
3 決戦下国民生活の変容(階層差・地域差・性差;揺らぐ秩序 ほか)
4 戦争と技術発展―総力戦を支えた技術(戦時下の技術発展を考える視点;戦時下の科学技術政策 ほか)
著者等紹介
山室建徳[ヤマムロケントク]
1954年東京都生まれ。1976年東京大学大学院修士課程修了。現在、帝京大学講師
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感想・レビュー
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紙狸
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2004年刊行。5人の共著。編者が書いた「大日本帝国の崩壊」は一気に読ませる。我々は敗戦という結果から遡って原因を求めるのが普通だ。筆者は「戦中期の日本人は…われわれが作り上げているイメージとはずいぶん異なる世界に住んでいた」(p9)として、その世界を描く。このアプローチがこの本を、類書とひと味違うものにした。1937年の「北支事変」で始まった中国との戦いが、日清、日露戦争、満洲事変といかに異質であったかという指摘が重要だ。目的がはっきりはっきりせず、高揚感が得られず、ずるずると日常化していった。 2018/02/02