出版社内容情報
教育関係者に必要とされる障害者福祉の理念、障害者(児)と社会をとりまく現状などを、具体例を取り上げながら解説。経験に基づいた説得力のある解説で、実際に生徒指導などに役立つ実践的障害者福祉論。
はじめに
第1章 障害児(者)福祉の理念
1 民主化への道程(みちのり)と社会福祉(障害者福祉)理念の形成[星野貞一郎]
2 現代社会における人権の国際化と障害児(者)福祉の理念[星野貞一郎]
3 地域福祉重視の理念[八重樫幸雄]
第2章 日本の障害児(者)福祉の歩み――現状と今後[依田晶男]
1 日本の障害者福祉の歩み
2 今後の課題
第3章 新しく変わる障害児(者)福祉[大久保常明]
1 障害者自立支援法のめざすもの
2 新たな障害者福祉制度
3 今後の課題
第4章 障害児(者)の理解[清野佶成]
1 障害とは
2 障害児(者)理解は共生から
第5章 海外の障害児(者)福祉の現状――デンマークの実例[松本美代子]
1 ノーマライゼーションと福祉制度の変遷
2 デンマーク人が大切にする民主主義と個人主義
3 「平等」と「均衡」
4 デンマークの障害児(者)福祉
5 障害児(者)施設見学報告
6 まとめ
第6章 障害児(者)と福祉施設[加藤博臣]
1 福祉施設の沿革と現状
2 法と制度
3 利用制度と自己負担
4 苦情br> 3 本と出会ってわかったこと
4 障害を理解するための本について
資料編
1 戦後日本の障害児(者)福祉略年表
2 特別支援教育に関する統計資料
3 障害と教育に関する基本法令・報告
4 障害児(者)福祉施設の体系
はじめに
戦後六〇年を迎え、国内外の社会に著しい変化が起こっている。教育、福祉も激変・激動のときである。教育関係者にとっても、たんに教育だけの知識だけではとても対応できない時代になっており、幅広い知識・見識が問われている。そのなかの一つの専門分野が社会福祉・特殊教育(いずれ特別支援教育となる予定)である。
ここに教育関係者にぜひ知ってほしいと考えて刊行したのが、本書「教育者のための障害者福祉論」である。この本は、タイトルに示してあるように、教育関係者の方々に、ぜひ知ってほしい障害者福祉を、理論中心ではなく、具体的に役立つものにと思ってまとめたものである。当初の予定ではもっと早く刊行したいと考えていたが、障害者福祉に関係する新しい法律や答申、報告が相次いで出され、その動向を探り、検討し、的確に対応したものにと考えた結果、現在にいたった。
しかし、出版間際に、今後の障害者福祉の動向を決めると思われた「障害者自立支援法」が衆議院の解散によって廃案となってしまった。新聞報道によると、尾辻厚生労働大臣は「障害者施策を頓挫させるわけにはいかない。臨時国会でも早急に成立させていただくべく、引き続き努力する」と述ているデンマークでは、障害者が普通の生活をできるように、まず障害年金や手当で、普通の人の月収並の金額まで支給し、障害者が税金を支払うまでにしている。彼らはそれで十分生活することができ、障害者自身の文化をもちながらいきいきと暮らしを楽しんでいる。日本でも、そこまではいかなくても、普通の生活ができるような障害者施策が求められよう。
日本では人々があまりにも福祉について知らなすぎる。国民生活にかかわる福祉について、中学生頃から十分に教え、啓蒙・啓発を図るべきであろう。
その前にまず、教育関係者の方々には、ぜひ福祉について知っていただきたい。
各学校に障害のある子が在籍しているはずである。現在、特殊教育の対象になっていない、学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、高機能自閉症の子は、普通学級に在籍している。近い将来この子どもたちは、特殊教育に代わって導入される特別支援教育の対象となっていく。小・中学校の先生方はもちろん、すべての学校関係者、教育委員会などの教育関係者は、特別支援教育について十分知識・理解をもたねばならない時代に入る。
また、いじめ・不登校の件数は、文部科学省の調査では、減少 星野貞一郎
清野 佶成
目次
障害児(者)福祉の理念
日本の障害児(者)福祉の歩み―現状と今後
新しく変わる障害児(者)福祉
障害児(者)の理解
海外の障害児(者)福祉の現状―デンマークの実例
障害児(者)と福祉施設
障害児(者)の教育
障害児(者)と学校・社会
障害児(者)と自立生活・福祉機器
障害児(者)と人権―障害者分野における専門職は何をなすべきか
障害児(者)福祉と読書
著者等紹介
星野貞一郎[ホシノテイイチロウ]
駒澤大学助教授、群馬大学教授、同大学院教授、立正大学教授、東京福祉大学学長などを歴任。群馬社会福祉大学教授。立正大学名誉教授、東京福祉大学名誉教授、元日本学術会議社会福祉・社会保障研究連絡委員会委員。文学博士
清野佶成[キヨノヨシマサ]
中学校教諭、養護学校教頭、校長、聖母女学院短期大学教授、国際文化学科長、国際福祉専攻主任を歴任。創造学園大学ソーシャルワーク学部教授。地域医療・介護・福祉コミュニケーション委員会(ICCW)委員長、社会福祉法人みずき福祉会理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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