出版社内容情報
英国ファンタジーの傑作「ナルニア国物語」全７巻を読み解く。壮大な物語に描かれた作家ルイスの理想的世界とは。「ナルニア」の世界をより深く知るために欠かせない１冊。
内容説明
ナルニアに描かれたルイスの「理想的世界」とは。物語を読むうえで欠かせない文学的・宗教的主題を中心に、全７巻を解読。
目次
序章 ナルニアへの扉
第１章 『ライオンと魔女』―想像力の回復、あるいは未来に向けての退行
第２章 『カスピアン王子の角笛』―黄金時代への帰還
第３章 『朝びらき丸東の海へ』―痛みの問題
第４章 『銀の椅子』―悪しき同時代に抗う方法
第５章 『馬と少年』―礼節をめぐる冒険
第６章 『魔術師の甥』―善と悪の相互依存
第７章 『最後の戦い』―閉じられて開かれた幸福な結末
第８章 『ナルニア国年代記物語』と『妖精女王』―ルイスの「現代性」
第９章 ナルニア的風景の源泉―ルイス文学紀行
著者等紹介
安藤聡［アンドウサトシ］
１９６４年東京都出身。明治学院大学大学院文学研究科英文学専攻博士後期課程満期退学。愛知大学経営学部・同大学院国際コミュニケーション研究科教授（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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Die-Go
53
邦人による『ナルニア国物語』解読及びC.S.ルイス伝記本。各巻を丁寧に読み解いており、『ナルニア』に対する愛情がほとばしっている。『ナルニア』を読んだだけでは納得できなかった部分も、本作を読むことで、「そういうことだったのか」と納得させられる。伝記部分は他書と被る部分が多々あるが、必要最低限のことは書かれている印象。★★★★☆2017/02/01
パトラッシュ
9
ルイスはいかにして「ナルニア国」の世界を創造したのか。聖書の天地創造や終末論を物語化したのは知られているが伝記的研究や影響を与えた文学、交友関係まで調べ上げ、50年余の人生で得た教養と経験と理想すべてを注ぎ込んでいたのを明らかにする。ファンタジー文学の専門家だけあってルイスの学問的著作の分析やターキッシュ・ディライトをはじめとする英国人の生活紹介も怠りなく、住居や旅した土地の写真も多数掲載されていて楽しい。ただルイスを欠点や暗い部分のない完全無欠な人としている部分もあり、無条件で信頼するのはためらわれる。2020/05/09
がんぞ
3
カトリック信仰は小説家に向いている。WASPのアメリカのSFと英国SFは冒険＝侵略（同化）主義か、対話＝共存or決別かというプリンシパルの違いがある。「非キリスト教国でも人気がある」『ナルニア』がSFかは微妙だが、神学SFとして成り立つとすれば、隠されたテーマは『“自由意志”は存在するか』ではないか？スーザンの角笛をカスピアンが入手したのは必然か？／「発刊順の前半では物語性重視、後半では神学的テーマが明瞭化」「伏線回収も有り、発刊順に読むしかない」←（同感）／戦闘の後の祝祭＝宴会の場面は死後天国の暗喩か？2018/01/17
