出版社内容情報
いま、文化人類学を研究する意味とは? さまざまな違いを文化の違いとしてとらえ、人間とは何かを明らかにしてきたこの学問は、日本では自他を区分けすることだけに役立ってきたのではないか。私たちの自己認識、異文化理解を再考する学問へと転換をめざす。
はじめに 吉田竹也
1 家・タラワード・女神寺院――民族誌学のためのイデオロギー論入門 小林 勝
(1)書けなかった「家」
(2)「イデオロギー」へ
(3)南インド・ケーララへ
2 信仰と論理、論理の歴史――妖術研究のゆくえ 菊地滋夫
(1)アフリカと妖術研究の〈問い〉
(2)エヴァンズ=プリチャードと妖術研究
(3)物語と経験の組織化
(4)強靭な論理
(5)ザラザラした大地へ
3 ギアツのバリ文化統合論再考 吉田竹也
(1)問題の所在
(2)ギアツの議論の要約
(3)議論枠組みと記述の再検討
(4)暫定的な結論
4 ボルネオ先住民の宗教変容 三木 誠
(1)ニュリ運動
(2)ブンガンアダット
(3)死者儀礼の質的変化
(4)カハリンガンの形成
(5)概括および考察
5 べトナム北部における社会主義市場体制と「宗教」「民間信仰」「迷信異端」 宮沢千尋
(1)ドイモイ政策以前と以後の宗教政策
(2)ヴィエムサー村の民間信仰の復活
(3)聖母信仰のシャーマン儀礼
(4)結びにかえて
6 タイの僧侶プラ・プラユッドー・ パユットのイメー
内容説明
文化人類学を再考する、あるいは見つめ直すことを主題にした論文集。それぞれの執筆者はユニークな問題関心と視点から、この文化人類学の再考というある意味できわめて抽象的な主題を、具体的な議論の脈絡に結実させ論を展開している。
目次
第1章 家・タラワード・女神寺院―民族誌学のためのイデオロギー論入門
第2章 信仰と論理、論理の歴史―妖術研究のゆくえ
第3章 ギアツのバリ文化統合論再考
第4章 ボルネオ先住民の宗教変容
第5章 ベトナム北部における社会主義市場体制と「宗教」「民間信仰」「迷信異端」
第6章 タイの僧侶プラ・プラユッドー・パユットのイメージをめぐって
第7章 複数文化の交錯する街、北京
第8章 日本文化に見る思考の論理―神話の分析をとおして
著者等紹介
森部一[モリベハジメ]
1947年生まれ。南山大学人文学部教授。専攻は文化人類学
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