青弓社ライブラリー<br> 「ジェンダー」の危機を超える!―徹底討論!バックラッシュ

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青弓社ライブラリー
「ジェンダー」の危機を超える!―徹底討論!バックラッシュ

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  • サイズ B6判/ページ数 307p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784787232625
  • NDC分類 367.2
  • Cコード C0336

出版社内容情報

バックラッシュに反撃する! 男女平等や性の自己決定を主張し市民権を得ているジェンダーという概念に対して、全国で曲解や歪曲に基づく批判=バックラッシュが巻き起こっている。それらの反動性を徹底的に批判し、ジェンダー概念の深化を探る。

刊行にあたって  米田佐代子

はじめに  皆川満寿美/赤石千衣子

序章 「渦中の人」から  上野千鶴子
 1 経過――いくつものアクターが関与して日の目を見た事件
 2 評価――バックラッシュがもたらした逆説的貢献
 3 背景――根が深い反動派の動き
 4 見通し――絶望しているひまなんかない

第1部 「ジェンダー」をめぐるポリティクス

第1章 ジェンダー概念の有効性について  江原由美子
 1 問題の所在と本稿の目的
 2 学問におけるジェンダー概念
 3 ジェンダー研究の展開とジェンダー概念
 4 ジェンダー概念の有効性
 5 「ジェンダー」に対する攻撃をどう考えるか

第2章 「ジェンダー」「ジェンダーフリー」の使い方、使われ方  井上輝子
 1 運動・教育・行政用語としての「ジェンダー」「ジェンダーフリー」の登場
 2 「ジェンダー」「ジェンダーフリー」の用語法
 3 「ジェンダー」「ジェンダーフリー」使用法についてのいくつかの考察

第3章 バックラッシュの流れ――なぜ「ジェンダー」が狙われるのか  若桑みどり
 1 前提――アメリカにおけるバックラッシュ
 2 ジェンダー・バックラッシュの流れ
 3 バッシングの主たる対象
 4 バックラッシュ・キャンペーンの「主体」は誰か
 5 なぜ彼らはジェンダーを攻撃するのか
 6 ジェンダー攻撃の論点批判
 7 まとめ

第4章 「現場」からの声
 1 「ジェンダーフリー」教育の現場から  兵頭貴子
 2 性教育へのバッシング――学校の現場から  高村あい

第5章 言葉を力に――市民と行政と学界のはざまで  丹羽雅代
 1 「セクシュアル・ハラスメント」概念の獲得が女性たちにもたらしたもの
 2 教育現場での性差別を問題にすることの困難
 3 東京女性財団発行物『ジェンダーチェック』への違和感
 4 なぜ多くの女性センターや女性行政担当が『ジェンダーチェック』にとびついたのか
 5 バックラッシュに抗して

第6章 ことばは生きている、あるいは、よりよき相互理解のために  加藤秀一
 1 ねらい
 2 「ジェンダー」概念について
 3 おまけ――「ジェンダー」「ジェンダーフリー」という言葉の問題
 4 最後に

第2部 「ジェンダー」の何が問題なのか――3・25シンポジウム全体討議

第3部 バックラッシュに抗うまなざし
 1 フェミニストの一部がどうしてジェンダーフリー概念を避けるのか  伊田広行
 2 トランスジェンダーからの攪乱的問いかけ、ジェンダー概念再考  金井淑子
 3 ジェンダーフリー・バッシングと「日本の伝統」  加納実紀代
 4 ジェンダーフリー教育が意図したもの  舘かおる
 5 「国家とジェンダー」を問う  鶴田敦子
 6 学習・思想をめぐる市民と行政  細谷 実

おわりに  若桑みどり

資料 ジェンダー関連年表
   抗議文ほか

内容説明

男女平等や性の自己決定、それらを支える社会制度の設計を推進してきた概念であるジェンダーに対して、誤解や曲解に基づく攻撃=バックラッシュが全国で巻き起こっている。「男らしさ/女らしさ」を基盤に、性別役割の非対称な権力構造を固定化させるのが狙いである。これに反撃するシンポジウムには、江原由美子や井上輝子、若桑みどりら研究者を筆頭に、学校教員・弁護士・政治家・女性団体・市民が集まり、バックラッシュの現状を報告しあい、概念としてのジェンダーをめぐる徹底討論がおこなわれた。その成果をもとに、上野千鶴子や鶴田敦子、加納実紀代、舘かおるらも寄稿し、バックラッシュの反動性を批判し、ジェンダー概念の深化をさぐる。

目次

「渦中の人」から
第1部 「ジェンダー」をめぐるポリティクス(ジェンダー概念の有効性について;「ジェンダー」「ジェンダーフリー」の使い方、使われ方;バックラッシュの流れ―なぜ「ジェンダー」が狙われるのか;「現場」からの声;言葉を力に―市民と行政と学界のはざまで;ことばは生きている、あるいは、よろよき相互理解のために)
第2部 「ジェンダー」の何が問題なのか―3.25シンポジウム全体討議
第3部 バックラッシュに抗うまなざし(フェミニストの一部がどうしてジェンダーフリー概念を避けるのか;トランスジェンダーからの撹乱的問いかけ、ジェンダー概念再考;ジェンダーフリー・バッシングと「日本の伝統」;ジェンダーフリー教育が意図したもの;「国家とジェンダー」を問う;学習・思想をめぐる市民と行政)

著者等紹介

若桑みどり[ワカクワミドリ]
1935年生まれ。ジェンダー文化研究所長、千葉大学名誉教授。専攻はジェンダー美術史

加藤秀一[カトウシュウイチ]
1963年生まれ。明治学院大学教員。専攻は社会学、ジェンダー論

皆川満寿美[ミナガワマスミ]
1961年生まれ。大学非常勤教員。専攻は社会学、エスノメソドロジー、ジェンダー研究

赤石千衣子[アカイシチエコ]
1955年生まれ。「ふぇみん」編集部。夫婦別姓選択制の導入や婚外子差別の撤廃などに取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Olive

8
国分寺市の上野による講演中止に端を発し開催された討論記録である。ジェンダーフリーを叫ぶ人の性差否定(これは性への配慮否定へと飛躍する)が、意図的に歪曲した見解に基くとのフェミニズムたちの異議申し立てである。江原は理論的枠組みで、加藤は性差と性役割の混同を、若桑は政治の保守化と復古思想を、井上は蔵書の政治的圧力をといった具合に、多方面から批判する。その後の全体討論も読み応えがある。政治を変えるには国民は投票行動しかないわけだが、こうした思想統制が現在も続いていることに敏感になることの大切さを感じる。2023/12/09

Metonymo

4
「教科書をつくる会」などの保守団体や様々な宗教団体、遺族会などからおこるバックラッシュに対抗するために書かれた本。若桑みどりさんという旗頭を失った後、これからの改憲・復古勢力に対抗するにはどうするべきなのであろうか。2013/05/07

鬼山とんぼ

3
クアトロラガッツィで史学者若桑みどりを知り大いに敬意を抱きその後絵画史の本を数冊読み、婦人解放運動の重鎮であることを知った。その縁故でこの本に接したが、残念なことにこの本の出版翌年逝去され、葬儀では同志である上野千鶴子が追悼文を捧げたという。私は男性だが女性だけで運営する事業所に関与し間接的に国籍人種LGBTQ多種多様な顧客に接しているせいで、この話題では世間の平均よりは少しましな理解をしているつもりなのだが、家内からは再三再四再五あんたは何も判ってないと罵倒されている。やっぱり森さんが元凶だったのか。2021/03/31

tjZero

3
先般の五輪組織委会長の発言について、海外メディアから指摘されるまでその問題の大きさに気がつかなかった人が多いと思う。自分もそのひとり。その反省から手にとったのがこの本。ジェンダーフリーを推進する活動と、それを妨害しようとする勢力とについての報告&評論。あの安倍元首相がかなりの頻度でジェンダーフリーに反対する発言や活動を行なっていたとは知らなかった。安倍さんは自民党森派の出身。やっぱり根っこはつながっているんだね。森会長のあの発言は必然だった。2021/02/24

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