出版社内容情報
論じられることの少なかった『ポーランド統治考』を『社会契約論』と重ね合せて丹念に読み解き,両者の密接な関係のなかにルソーの政治思想,国家思想の現実的射程を浮彫りにする。とかく夢想的な思想家と見られがちなルソーの理解に新生面を開く。
・「図書新聞」96.6.15 小林善彦氏評
・「SAPIO」96.5.10
・「週刊読書人」96.5.17 山岡捷利氏評
目次
第1章 『ポーランド統治考』と『社会契約論』―情況・架橋・ヴェクトル
第2章 立法・統治・人民―人民と国家(その1)
第3章 国家の姿―人民と国家(その2)
第4章 耐え難き中間にあって…―結びにかえて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
5
「「一国を他国家から独立の状態に維持する唯一の手段、それは農業である。…」コルシカにおいても、ルソーは各人の土地所有量は一家の生活に必要なだけに法律で規定するよう提言しているが、その土地をもって農業に専心し、一国を自給自足体制にすることが、彼の意図ー自然に人為をもって抗するーの実現法であることを前記引用文は雄弁に語っている。…このような徹底した主張は、いかなる形態であれ他国との交易はいっさいこれを認めないような国民性ー法で禁ずるのではなく、一国の習俗が選び取るのであるーを期待してやまない。」2023/06/13