内容説明
変化の直中にあるアボリジニ社会。その歴史的背景や社会的実践のあり方を、しなやかで力強い生き方を見せる女性たちに着目して描き出す民族誌。男女の関係や平等のあり方は決してひとつではないことを示し、人類学的方法のオルターナティブを提案する。
目次
序章 オーストラリア社会の変化とアボリジニ女性
第1章 ガリウィンク小史
第2章 婚姻、社会生活と女性
第3章 労働・経済・神話―語りはじめた女性たち
第4章 ヨルング女性たちの変化
終章 女性の主体性とアボリジニ社会
著者等紹介
窪田幸子[クボタサチコ]
1959年東京生まれ。甲南大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。広島大学総合科学部助教授。博士(社会学)
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感想・レビュー
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Mt. G
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語り口が柔らかく明快で新書の感覚で読める。機動力や新技術の導入により「女性の獲得する植物性食料が外来の工場加工食品に取って代わられ、女性の採取活動が減少」し、「それまでの女性の植物食採集による貢献という女性の社会経済的重要性が失われることにつながり、女性の社会的地位が低下した」というアルトマンの主張に反して、著者は「社会福祉や雇用を通じて市場主義経済への直接のアクセスが女性たちに開かれる」ようになり、むしろ「経済的な自律性を獲得した」と言う。ひと口に「近代化」といっても発展のあり方は多様であることの証左。2015/09/23
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