内容説明
「河川国家」とも称される中国の歴史と文化の発展は、水の利用と管理によってもたらされてきた。それには歴代王朝の政策的努力もさることながら、それぞれの地域社会の官僚や民衆が、主体的に独自の問題に深く関与し、解決にあたってきた。本書は特に清代を中心とした各地の水利と治水に対する地域社会の取り組みと、民衆のあり方を通じて、近代前夜の複雑な時代の諸相を究明したものである。
目次
第1章 清代江南における〓田水利の一事例
第2章 清代道光期の西湖管理と杭州商紳
第3章 清代南京城市の河道水利
第4章 林則徐の『畿輔水利議』についての一考察
第5章 清代直隷の清河治水と千里長〓
第6章 清末浙江省余杭県の南湖水利について
第7章 清末浙江における南湖水利と客民問題
第8章 民国初期における上海浚浦局の改組問題
第9章 呉錦堂と杜湖・白洋湖の水利事業
第10章 民国期、湖南〓江における〓田地域の水利紛争
附編(明末清初における福建晋江の施氏;清代湖広地方における定期市について;清代の「議図」制とその背景;清代「義図」制再考)
著者等紹介
森田明[モリタアキラ]
1929年奈良市に生まれる。広島文理科大学史学科(東洋史学専攻)卒業。専攻は中国明・清社会経済史。現在、文学博士。大阪市立大学名誉教授、九州産業大学国際文化学部教授
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