出版社内容情報
『論語』は二千年にわたって読み直されてきた。朱子以降の膨大な論語読解を参照し、読みの新たな可能性を切り開く。学ぶことをひたすら説き、概念化や一般化をせずに具体的に語った孔子の精神を探る思想史的論語講義。
内容説明
孔子は常に弟子たちとともにあった。孔子の言葉は、概念化・一般化した抽象的なものではなく、語っている相手に即して具体的だった。後世、さまざまな人たちが『論語』を読解して一般化につとめていく。『論語』の上には幾重にも先人たちの読みが堆積している。だが、孔子が最初に問いかけた言葉はいつも読みの可能性に開かれている。『論語』というテキストの原初性に向けて、思想史家の読解が始まる。学ぶことの愉しみに満ちた論語講義。
目次
学ぶこと
仁について
道について
信について
天について
徳について
仁を問う
政を問う
孝を問う
徳を懐う
忠信と忠恕
死生・鬼神
君子たること
文を学ぶ
温故知新
詩について
楽について
礼について
弟子たちの『論語』一
弟子たちの『論語』ニ
弟子たちの『論語』三
弟子たちの『論語』四
弟子たちの『論語』五
著者等紹介
子安宣邦[コヤスノブクニ]
1933年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。大阪大学名誉教授。思想史・倫理学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
2
ふむ2023/12/10
はちめ
2
論語に出てくる仁だとか天とかのキーワード毎に分類して思想史上の解釈を紹介するとともに、弟子毎にエピソードを紹介するというありそうであんまりなかった企画。少し残念なのは著者もほとんど評価していない朱子の解釈が多く紹介されていること。思想史上の重要性はあるが現代的には過去のものであり、原典解釈的にも評価すべき点は少ないので、これほどページを割く必要はなかったと思う。でも、本書は論語読みの方には参考になる1冊です。2017/01/09
nagoyan
2
優。著者は、本書は京の市井儒家伊藤仁斎の読みに従ったという。仁斎のありかたが、孔子同様に、「学」が、国家による教化ではなく、学習者の自発性に根ざすという。本書通読後、名状しがたいあたたかみを感じた。鋭い「論語」解釈も無論それはそれでよいのだが、本書には、それ以上の全人的ななにかがある。2011/01/26