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岩波文庫
アベラールとエロイーズ 愛の往復書簡

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  • サイズ 文庫判/ページ数 324p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003211922
  • NDC分類 132.2
  • Cコード C0198

内容説明

アベラールの自伝「厄災の記」が語る神学者の栄光と蹉跌、去勢事件、修道士への転身。「神なき修道女」となったエロイーズからの懊悩の手紙に、いかに答え、いかに導いたか。中世古典の白眉から「愛の手紙」部分を新訳。波瀾の男の最期を伝える資料を付す。

目次

第一書簡 厄災の記―アベラールから友人への慰めの手紙
第二書簡 エロイーズからアベラールへ
第三書簡 アベラールからエロイーズへ
第四書簡 エロイーズからアベラールへ
第五書簡 アベラールからエロイーズへ
付録 尊者ピエールからエロイーズへの手紙

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

36
大学の哲学の講義では名前でしか触れられなかった神学者アベラールとエロイーズ。しかし、このアベラールという男、最低。「友人に宛てた」という名目で書かれた自叙伝からしても自分の頭の良さを鼻にかけて周囲を憐れむという傲慢さが透けて見える程の書き方。それじゃあ、手塩にかけて愛していた姪に手を出された上に「愛人関係の方がお互い、都合がいいんじゃない」という言い草で片付けようとしたアベラールに叔父が去勢をしようと目論むのも無理ない・・・。愛の記憶を忘れられない女とその時の愛は情欲から生じ、愛ではなかったことにしたい男2016/04/12

記憶喪失した男

15
十二世紀のフランスの書簡集。ラテン語で書かれたもの。学者として名高かったアベラールとエロイーズの手紙五通である。意外性はあるが、これを素直に評価する気にはならない。国語的には上手だが、期待外れだったというのが正直な感想だ。2020/06/24

ラウリスタ~

15
12世紀にこれほど赤裸々な愛の手紙が存在したことにまず驚く。12世紀といえばまずフランス語すら、不完全な時代。フランス文学なんてないに等しい。ところがなるほどラテン語の文学なら12世紀フランスでもあった。それにしても12世紀とは信じられない。それ以上に手紙の内容が・・・。修道院の院長がそんなこ言っていいんですか!しかも公開を前提とした手紙で。ちょっと目を疑うほどエロチックなことをおっしゃってます。中世キリスト教ってほんと何がなにやら・・・そりゃリドヴィナが必要になるわけだ。2011/08/03

双海(ふたみ)

13
キリスト教徒ではない私にとってアベラールの言葉は空疎であり、一方エロイーズの言葉には真実味があるように感じた。彼女は姦淫を悔やむどころか神を弾劾し、その気質、昔の情熱的愛人そのままであった。彼女は神よりもアベラールを愛すると断言して憚らない。2014/02/18

壱萬弐仟縁

9
結婚というものが哲学研究にもたらす妨げとなる(32、278ページ)。家庭教師もそうだと思えるが、生涯独身を貫くのが生き方として清潔なのだろう。これに対して子育てしながら研究したのは池上先生だったのだが。足下にも及ばない。「富や権力は運によるものであるのに対し、優れているのはその人の徳によるものだからです」(109ページ)。この思想は肝に銘じたい。解説では、王朝文学で『和泉式部日記』にも触れられており、比較文学論の可能性を感じた(300ページ)。同時代の異文化研究での異同は興味深いテーマだと思った。2013/02/09

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